現場にアタック

2010年05月12日(水)

「はやぶさ」7年間ぶりの帰還へカウントダウン

担当:近堂かおり

 

JAXA(宇宙航空研究開発機構)が打ち上げた小惑星探査機「はやぶさ」
来月、7年ぶりに地球に帰ってきます。
小惑星イトカワの砂を採取したカプセルを6月13日オーストラリアの砂漠に投下するのです。
月以外の天体から砂や石を持ち帰るのは人類初の試み!!


そんな大プロジェクトに、アマチュアの天文ファンが参加することになった、というのです。
砂漠に落ちたカプセルの捜索に手を貸してほしいとJAXAが協力を要請した

大阪にお住まいの上田昌良さんにお話を伺うと、嬉しいというよりビックリした! とのこと。

上田さんは「日本流星研究会」のメンバーで、長年、流れ星を観測しているのですが、

上田さんたちが開発した流れ星の落下地点を特定する装置に目をつけたJAXAが、
はやぶさのカプセル(直径40㎝、中華なべのような形)探しに協力して、とお願いしたのです。

小惑星の砂は、惑星が生まれた頃の太陽系の様子が分かる重要な証拠。
地球上の物質では分からない。惑星は宇宙の化石ともいわれる貴重なモノ・・・。

それは分かります・・・・・・。


でもそれJAXAだけでできないの?

 このプロジェクトに210億円も使っているんだから、立派な装置もあるでしょうに。

わざわざアマチュアの方にお願いしなくても...。

そこで、このプロジェクトのリーダー、JAXAの川口淳一郎さんに伺いました。

 

  「もちろんカプセルが大気圏に突入する軌道はJAXAもきちんと観測します。
   搭載するカプセルにも電波の発信源が積まれていて、

   その発信源を追跡する装置を現地に持ち込みます。

   だからほとんど問題はないと思っていますが、ただ万が一、色んなことを考えると、
   色んな方法でバックアップを考えておかなきゃいけないわけで、
   何としても成功の確率を高めたいということです」

 

JAXAのシステムでほぼ大丈夫なんだけど、人類の大きな期待が詰まったカプセルだから、
万全に、万全を期すのです(^^)。
そこまでJAXAがやるのは、実は2003年の打ち上げ以来、はやぶさは
ずっとトラブルの連続で、いわば満身創痍なのです。

打ち上げ直後にエンジン1つがすぐ故障したのがトラブルの始まり。(運のつき?? ケチのつき始め?)


これまでに姿勢制御装置は3つのうち2つ故障。
燃料は漏れる、バッテリーはなくなる、途中で地球との通信が不能になる、
地球へ帰る軌道も外れる、なんとか戻したら残った3つのエンジンのうち2つが故障。
一時は、もう地球に帰るのは絶望的と言われた。
川口さん自身、記者会見で「地球に帰ってくるんですか?」と聞かれて、

「動いているだけでも奇跡的」と言っていたほどなのです。

あきらめずに地球から遠隔操作でなんとか建て直し、

2007年に帰る予定は3年も遅れましたが、ようやく来月、帰って来る。

色んなことがあったが何とかここまで奇跡的に命をつないでここまできているのだから、

万全の体制で迎えたい! という気持ちも分かりますよね。

 

しかし、惑星イトカワからのサンプルを採集したカプセルを回収する担当、安部正真さんにお話を伺うと、重大な不安があったのです。

  「地球にサンプルを持ってくる一番大事なところで、

   探査機から弾を秒速300mくらいの速度で打ち込んで跳ね上がる破片を

   サンプルを採るキャッチャーという装置で捕獲してカプセルに送り込んで、
   カプセルが地球に帰ってくるという想定だったんですが、

   弾が発射されていないかもしれないことが後から分かったんです。
   そうだとするとサンプルとなる破片が入っていないかもしれない
   それは見てみないと分からないんですが、

   とにかく入っていると信じて今はそれの準備をしているところです・・・」

 

正式な採取はおそらくうまくいっていない・・・でも、着地の時に巻き上げたチリがカプセルに偶然

入っているかもしれないのを期待している???
でも、これはとんだ、どんでん返し。プロジェクトのリーダー、川口さん
「中身が入っていないかもしれないんですか? 話が違うじゃないですか」と問い直しましたが、

川口さんは動じることはありませんでした。

 

  「入っているとしても小さな粒子で、

   そんな玉手箱ふうなザクザク目に見えるようなものがあるとは考えていないんですよ。

   うまくいったとしても、1グラムくらいの予定ですから。
   例えば、恐竜が絶滅したという小惑星の衝突は、地球上にばらまかれている

   目に見えないほどの小さなイリジウムの粒を観測して推定しているんです。
   それと同じで、物の大きさの大小はあまり本質ではなくて、

   微量であろうとも科学的意味は高いんです」

 

目に見えないチリで十分解析できる技術が、今の日本にはあるのだそうです。


それより、はやぶさが月以外の惑星から行って帰ってきたらこれも人類初
これから人類は、宇宙大航海時代を迎える。その第一歩
どこまでも前向きな川口さん。さすがリーダー。

 

じゃあ、安心と、その技術力に期待しかけた私です。・・・・・・が!

実は・・・ほかにも不安材料があるというのです(TT)。
その大事なカプセル。

計画より3年余計に過酷な宇宙空間にあったから、小さな傷や劣化が考えられるのです。

そうなると、ヘタしたら、大気圏突入で熱に耐えられずに、燃え尽きちゃう可能性もなくはない...!!

 

えええええ・・・。それじゃあ、元も子もなくなってしまうじゃないですか・・・。がっくり。心配。

 

この7年間、希望と絶望を激しく行き来しながら、はやぶさを見守ってきたJAXAの人々。
世界中がサッカーW杯に熱狂する頃、彼らはオーストラリアの空を見つめて

歓喜の声をあげるのか、それとも...。

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2010年05月11日(火)

京急ダイヤ改正で、大田区蒲田が大激怒!!

先週の5月7日の金曜日に京浜急行のダイヤ改正が発表になりました。最大の目玉は「品川駅と羽田空港駅の間が直通運転される!」。羽田空港国際化案を受けて、現在、鉄道各社は羽田客の奪い合いの最中。というわけで、京急としては、モノレールに対抗しなければ、というのが今回のダイヤ改正の背景のようですが、とにかく利用する人にとってはとても便利になるこのダイヤ改正。ところが「大田区の自治会は、これに、とっても怒っている!」ということなので取材してきました。

では、まず、なぜ怒っているのか?大田区自治会連合会の樋口ゆきお会長にお話を伺いました。


なぜ京急蒲田の駅を飛ばすのかという説明がない。京急は強行する方向になってる。普天間じゃないけど、住民本意を無視してる。説明責任を果たしていない。人間同士のこころが通じてない。残念。
 
 
・・・と、机をがんがん叩きながら、かなりご立腹の様子でした。

現在、品川駅と羽田空港駅を結ぶ京急の電車は、必ず京急蒲田には一度停車をするようになっています。というのも、京急蒲田の駅が羽田方面、横浜方面、そして品川方面の分岐点、乗り換えの要になっているからなんです。それなのに、今回のダイヤ改正では、この重要な京急蒲田駅を飛ばすような電車が運行されることになってしまった・・・。もちろん、全ての電車が京急蒲田を飛ばすワケではなく、急行や各駅停車は止まるということなんですが、でも、これまでの「全て停車」という前提を覆すような扱いに、住民は激怒、というわけなんです。

ただ、伺ってみると、この住民の怒りの矛先は、京急だけではなく、大田区にも向かっていました。というのも、京急のダイヤ改正にも絡む「線路の高架化事業」(国道15号線、第一京浜の蒲田駅の高架工事)では、大田区も事業のパートナー。ちゃんとお金を出している!それも全事業費1680億円中、なんと200億円も、大田区はお金を出しているということなんです。要するに、住民側からすれば、「私たちの税金を使った事業なのに、私たちの利益に反するダイヤ改正だ!区は何をやっているんだ!」と。怒るのももっとも。というわけで、京急蒲田駅西口の商店街、京浜蒲田商店街協同組合の南弘元理事長も怒っていました。


京急は、事業者として、モノレールと対抗するプランを立てるのは当然。大田区側がその情報をつかみきれなかった事が悪い。ダイヤが決まって走る事になってから言っても大人げない。

 
「大田区は何をしていたんだ!落ち度がある!」、「羽田客の取り合いが激化しているのだから、京急が羽田と品川の直通電車を始めることぐらい、ちょっと考えれば、素人でもわかる!」、「事前に京急側に確認しなかったのは、大田区のミスだ!」、「だいたい、大田区と京急は、国道15号線、第一京浜の蒲田駅の高架工事でいつも顔を合わせてる。だからそれぐらいはわかるはずだろ」と、怒りは収まらない様子・・・・

こうした住民の怒り、大田区はどう受け止めているのか?大田区の野田たかし副区長にお話を伺いました。


ダイヤ改正について事前の協議がなされて当然という事が頭にあった。そんな事でよかったのかと言われると真剣な反省材料だと思う。今から戻る事が出来ればとも思います。


住民のお怒りを受けて、反省しきりの大田区。ただ、伺ってみると、大田区にもそれなりの言い分がありました。再び大田区の野田たかし副区長です。


これだけの連立事業をやってパートナーと思っていたのに、なんで、前日の、もうダイヤを動かせないときになって大田区に話を持ってきたのかと。ダイヤ改正の内容を我々に隠していたのかという懸念を抱く。


実は大田区も「ダマされた!」寝耳に水だったようです。

では、京急は大田区をだましたのか?京浜急行に取材をお願いしたところ、インタビューはNG。しかし、広報の方が電話で説明してくれましたので、その内容をご紹介すると・・・

 
「ダイヤ改正に関しては、鉄道会社が決める事になりますので、今回大田区さんにはダイヤ改正のご報告だけ行いました。また今後については、ダイヤ改正が今度いつ行われるのかまだ決まっていないので、大田区さんとご相談する段階ではない。」


京急は「私たちが決めることですから」と涼しい顔。これには、さすがに、大田区の野田たかし副区長もさすがに激怒!


(高架化の)連立事業はまだ途中の段階、そこに向けて本来ならば手を携えていかなければならないが、これからの事業に私たちはどういう風に関わるのか、真剣に考えていかなければならない状態。
 
 
大田区としては「それなら、もう一緒にやってられない!」と激怒。すっかり京急に腹を立ててしまった様子。

さぁ、この問題、果たしてどうなるのか?実は5月11日(この放送があった直後)の10時から、大田区役所で記者会見を予定しているそうです。さらに、新ダイヤの運行が始まる5月16日の前日、15日に、大田区産業プラザという京急蒲田駅の近くで、京急のダイヤ改正に反対する市民集会を、大田区などが主導して行う事も決まったそうです。このダイヤ改正、大丈夫なのでしょうか・・・・

最初の、怒っている住民の方の話に戻れば、ダイヤ改正自体に絶対反対、ということでもなく、要するに「聞いてないよ」というのが怒りの理由。つまり、コミュニケーション不足。現場への説明不足、根回し不足。住民・当事者の気持ちを無視しては、事が上手く進まないというのは、それこそ普天間も同じ話で・・・もう少しお互いが、話し合っていればよかったのに、という今回の現場にアタックでした。

リポーター 白井京子 
 

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2010年05月07日(金)

金曜日恒例のサラリーマンの声

担当:近堂かおり

 

今週のニュースは何と言っても「首相の沖縄訪問」ですよね!

無神経な発言したり、黄色のかりゆしウェア着たり・・・・

沖縄の県民の神経を逆なでしましたよね。

そこで今回のテーマとなりました。

題して「オレの神経を逆なでする行為はコレだ!!」

 

疲れているときにお話好きのタクシーの運転手さんに当たると・・・の

お話をしてくださったお父さんにはみなさん納得なのではないですか!?  

私も思わず、わかります~!!と言ってしまいました(^^;)

このお父さんは、最近は、音楽プレーヤーを聞く、という作戦に出ているようですよ・・・(^^)

 

逆なでしちゃうか否か。

悪気がなくてもしちゃうときもありますもんね。

やはり、気使い、大事なんですよね。・・・・・・ね?鳩山さん!?

 

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2010年05月06日(木)

2010年の渋滞

担当 山崎 景子


ゴールデン・ウィークも終わりましたが、
連休中にお出かけになった方も多いのではないでしょうか?
ここ最近の大型連休は、休日上限千円が導入されてからというもの、
「渋滞50キロ超えは当たり前」、「朝まで解消しない渋滞も続出」、、だったので、
さぞかし、今年のゴールデンウィークも渋滞スゴイだろう・・・と思ったんですが
(休日上限千円も最後といわれる大型連休でしたし、、)
実際そうでもない印象がありました。

そこで、ゴールデンウィーク最終日の5日、東名高速上り線の「海老名サービスエリア」に行って、
ドライバーさんにお話を伺うと、、、

  「そんなにひどくない。意外と空いてる」
  「予想より少なかった」「今年のGWはそんなでもない」
  「ずっと流れてるので、渋滞とは思っていない」
  「渋滞17キロと表示だが、あれ? 去年よりハマっていないのかと感じる」

などと、あまり渋滞していないと感じたようでした。
実際私がインタビューしたときは、海老名サービスエリアは渋滞17キロの中にあったんですが、
車で通ってみると、ノロノロだが流れる、、私も渋滞が薄い!?と感じました。

これが現場の実感。では交通情報のプロはどう感じたか?
5日の夜遅くに日本道路交通情報センターの大沼さんに話を聞くと、


 「今年の渋滞はほぼ予想通り。去年はじめて「休日特別割引」が導入され、
  去年の大型連休は たしかに予想を上回る渋滞が発生した。
  今回の予想は去年の実績をふまえたものなので、ほぼ予測通りに
  渋滞が発生した。去年と違って渋滞は夜には解消していたし、
  長い渋滞がずっとつづく、というものではなかった。
  利用者は渋滞予測をご覧になって、時間をずらしてくださった。
  だから今回のような結果になったのではないでしょうか?」

  
との事。  
なるほど!今年は
①休日割引が導入されてからの渋滞データが揃ったので、予測が正確になった。
②それに加えて、渋滞データをもとに時間をずらす利用者が去年よりずっと増えた。
だから上手くばらけて、渋滞が減ったんですね。

実際、ズラした方は、例年そこまで混まない「早朝」や「最終日」に動いたようです。

高速休日上限1000円導入後、お盆など入れると、今回のG.W.が五回目の大型連休。
予測データも揃い、利用者も渋滞への準備をまた身につけ、もう慣れたぞ!というのが
今回の連休の渋滞事情だったようですね。
 
ところが!休日上限1000円というのも、今月で終わりかもしれないですよね。
次の大型連休は、さてどうなるでしょうか?

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2010年05月05日(水)

上海万博言いたい放題レポート④ 上海にみる中国経済の光と影

★まず万博4日目の様子ですが、チケットの枚数制限が切れて、多くの人が入れるようになり大混雑。客層が変わったように感じます。3日目まではパビリオンの待ち時間にきゅうりやサトウキビをかじっている人もいましたが、昨日はアイフォンで音楽を聞いたり、携帯ゲーム機で遊んだりして待っていました。どちらも同居しているのが中国の面白さですね。
 
★そして取材では、万博会場の外にも足を延ばしました。


_DSC1627.JPG ★まずは上海を一望できるテレビ塔(350m展望台)に上ってみることに。知らない土地では高い所に登れといいますよね。そこからの眺めは霞の向こうまでビルまたビル。まあ、空気が悪いから結構煙っているのですが。実際、車に乗って高速道路で1時間行くとやっと郊外になります。ただ、この郊外にもきれいなマンションや国の施設が建っていて、いまだ上海市は拡大中と感じます。外国人居留地・租界だった場所は、高層ビルがひしめき、バブルを謳歌している。観ているだけなら華やかで活気ある街。上海という国家があるなら、日本は負けていると思ってしまうほど。

★その上海のバブルにあやかろうと出店している日本企業も結構多いようです。

★例えば「ユニクロ」。5月15日、上海に世界最大最新の旗艦店オープン。場所は高級ブランド店がひしめく上海の銀座・南京西路。その一角に世界でも最大級の店をオープンします。すぐ近くのスターバックスで、スタッフカードを下げた女性がお茶。話を聞くと、ユニクロの評判は中国でも高く、オープンに関われてうれしいと。「ユニクロ開店」と書いたTシャツを着て誇らしげ。ちなみにユニクロの商品のお値段は日本とほぼ同じ。ポロシャツが200元。日本で言うところの2980円=ニイキュッパといったところでしょうか。
_DSC1514.JPG ★そのユニクロ旗艦店の向かいは「吉野家」。近くにはCoco一番カレーも。他に、セブンイレブンやローソン、ファミリーマートなどコンビニも多いです。南京西路の駅には、「駅ナカ」としてファミリーマート。またコンビニの製品には伊藤忠商事など商社の手も入っていて、地下鉄の駅にはサントリーのウーロン茶の大きな看板が。 ★このように上海に進出したい日本企業にとって、万博は意味があったようです。建設重機のコマツは万博会場の建設に関わりましたし、吉野家は会場内にレストランを出店していました。
★また、そういった中国の一線で活躍する企業を追う「予備軍」の企業も万博に出店し商機を伺っていました。匿名ですが、この予備軍企業の方から面白い話をきいたのです。昨年5月にフードコートへの出店の入札が行われたが、中国で無名の予備軍企業の中には、コネとカネで落札したケースもみられるそう。中国の商慣習は変わっていないといいます。またレストランを出店する会社では、万博開幕直前に、店員同士の派閥争いがあって、50人がストライキをしてやめて行ったそう。そのビジネス感覚に戸惑ったとか。
★上海万博で中国を先進国にというが、結局は古い商慣習とビジネス感覚は健在。前途多難ですね。
★一方、中国の雇用状況は悪いようで、実はそういった予備軍企業のフードコートに働きに来ている人の中にも、大学卒で、学歴があるのに、中国の雇用状況の悪さから、職に就けない若者がいました。彼らのように高学歴で地方出身なのに低所得者層の居住区に群れて住む人々を「蟻族」といいます。
★万博会場に働きに来ている女性は、大学を卒業し上海に来たが就職先はなく、付き合っている彼氏も、大卒なのに車も持っていないとこぼします。その女性は彼氏を「バカ」といい嗤います。
_DSC1522.JPG ★大卒=高収入という感覚が根付く中国ですが、「大卒」の扱いが日本に近づいたといえるのかもしれません。それに都市部の発展のスピードを見せつけられ、これまでの大卒がしてきたように、なんでも手に入ると高望みしている感もあるかもしれません。
★でも物価は上昇し続けていて、ユニクロは日本と同じ値段。吉野家で食事すると1食4~500円。正直、中国では高い。でもそれが中産階級の行くショッピングセンターに入っているのです。そうすると「ユニクロも買えないから俺は中産階級じゃない」となってしまいますね。物価と感覚がゆがみ始めているのも事実です。
★さらにいま「エビ族」という人種も存在します。これは物価上昇で消費活動をしない巣籠り型の人のことで、小さな住まいに籠る様をエビの住む小さな巣穴にたとえたものだそう。中国人の感覚は、上海で職を得たら高層マンションに住み、家具をそろえ、クルマを買うというものですが、いま、物価の上昇を受けてこの感覚は崩れてきているそう。格差が是正されつつあります。
_DSC1574.JPG ★いま、上海の地下鉄のドアには、すでに、来年、中国の西安で開かれる世界園芸博覧会の広告があります。これは草花の世界博覧会で、なかなか大きいイベントだそうです。今度は西安を近代化する狙いでしょうか。国が巨額の資金を投じて主だった街を次から次へと近代化し、9%以上の経済成長率を維持していこうとする背景には、外資を呼び込み、職不足の雇用問題解決という意味もあるようです。

_DSC1618.JPG ★さて、3日間にわたってアジア最大の都市・上海で行われている万博についてお伝えしてきました。中国の経済はいま、新たなステージに突入しています。その大きなマーケットをいかにスムーズに日本の「内需」として取り込んでいくか。日本企業にとって今後も目が離せないでしょう。そういった意味でも、この万博取材は面白い経験になりました。

レポート記者:川原雅史

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