普天間飛行場移設問題:官僚にはめられた?鳩山首相
昨日のエントリーにも書いた通り、衆院選挙前には普天間飛行場を「最低でも県外に移設させる」と強調していた鳩山首相が、政権を握ってしばらくすると、「普天間飛行場を沖縄から全面撤退させるのは無理」と発言するようになった裏には、コメント欄でisao-pw大城勲さんが書いて下さったように、鳩山首相がいまだに官僚が提示する誤った情報を基に問題の本質を見誤ってしまったのが原因だろう。大城さんのコメントをここに紹介する。
鳩山政権の迷走
普天間基地問題で鳩山政権の迷走が非難され鳩山総理の指導力不足、責任論が高まっていますが昨年9月の政権交代後も霞ヶ関の官僚機構が従来通りの実務権限を維持し、経験の浅い閣僚、政務三役が既得権益を維持しようとする官僚機構に翻弄されて問題の本質を見誤り、官僚が提示する誤った情報を基に判断せざるを得ない状況では迷走を繰り返すのも必然です。
普天間問題での対米交渉でも自民党政権での対米従属と利権絡みで米軍再編計画に関与して来た官僚に頼っていては政権交代に伴う新たな日米関係を構築する事は不可能であり米国側の意向に阿る結論に至る事も必然です。
防衛省、外務省の実務交渉に臨む官僚は沖縄米軍基地の無期限自由使用を前提として普天間代替施設でのオスプレイ運用に配慮して編隊飛行訓練で必要な最大値として1600m滑走路を目論んでいる。これは米国がSACO合意でも米軍再編ロードマップでも明言して来た「戦闘機の運用は想定せず」の歯止めを外して空母艦載機の運用を可能にしヘリとは桁違いの轟音を発生させる。SACO合意で普天間の辺野古移設を受け入れた(故)岸本元名護市長と稲嶺前知事の受け入れ条件は15年使用期限と基地使用協定での運用機種制限が前提であったが日本政府に無視され北部振興策との取引で基地受け入れを迫られて来た。
鳩山政権が現時点で米国との合意を求めるにはSACO合意で辺野古移設を決めた際に米軍の求めた要件、ヘリ部隊と連動するKC-130空中給油機の運用可能な1300m滑走路と港湾施設が必要である。
沖縄県民の理解を得るには目先の誤魔化しでは無く本質的な日米関係の包括的な見直しで在沖海兵隊及び陸軍グリーンベレー等の地上部隊を全面撤退させ、沖縄本島周辺の訓練施設を全面返還させる為に使用期限の交渉を米国と直ちに開始すべきである。
最終ゴールは米軍地上部隊の全面撤退と訓練施設の全面返還こそ沖縄の負担軽減であるが鳩山政権は総理を始め閣僚、政務三役の無知に付け込む官僚機構の頑迷な妄言に操られて問題の本質を見誤り出口の見えない迷路を彷徨っていると言わざるを得ない。
半世紀以上も日本の政権を握ってきた自民党は例外だが、本来は、政党が政権を握るのは、数年だが、官僚は何十年も同じ仕事を続けるわけだから、政治家に比べて官僚の知識が高くなるのは当然であり、政治家が官僚の意見を参考にしようとするのもわからないわけではない。しかし、少なくとも、民主党は霞ヶ関改革を看板に衆院選を勝利したのだから、首相が官僚の言うことを疑いもせずにそのまま信じてしまうというのは大きな問題がある。
このことは、5月5日の『琉球新報』の「抑止力」と弁明 官僚支配 脱せず 首相「県内」表明 と題された記事でも下記のように指摘されている。
■パッケージ論再燃
「県外」断念の理由に鳩山首相は、「海兵隊の抑止力」の必要性を何度も強調した。鳩山首相の口から「抑止力」の言葉が出始めたのは、自公政権下で辺野古移設案決着に奔走した元外交官の岡本行夫氏との接触があって以降だった。沖縄への基地負担の集中を「理解」した上で、まだなお沖縄に負担を置く。その言葉にはある種の確信犯的な響きがある。
「県内移設」推進の一方で「トータルの県民負担軽減」を強調してみせる首相。県などが求める訓練海域の一部返還や日米地位協定の環境条項締結を、普天間移設と明確にリンクさせた。本来個別に取り組むべき施設返還などの負担軽減を「県内移設」とひとくくりにした「パッケージ」の文言も繰り返し、普天間移設でヘリ部隊と陸上部隊との一体性も強調した。前自公政権による日米合意での思想をそのまま引き継いだ形だ。
「官僚支配だからだらしないという気持ちは分からないわけではない」。官僚支配から脱しきれない鳩山政権の横顔がのぞいた。
海兵隊に抑止力がないことは、『きっこのブログ』沖縄へ飛んだハトポッポや『晴天とら日和』「抑止力という観点から、」(岡本行夫に丸め込まれ、。。。)でも指摘されている。鳩山首相は、官僚に頼らず、普天間の海兵隊に抑止力があるのかないのかを自分で調べるべきだと思う。このままでは、官僚によって支配されていた自民党と全く変わらないではないか。
もっとも、自民党が半世紀も与党でいられたのも、官僚のいいなりだったからとも言える。そう考えると、日本の政治は政党によって行われているというよりも、官僚に支配されていると言った方がいいのではないか。それを変えたいから国民は民主党に投票したのに、このままでは以前と全く変わらないままで、国民を失望させることになってしまう。
しかし、長い歴史のある日本で、『雁屋哲の美味しんぼ日記』が指摘しているように、普天間基地問題に関して、鳩山首相だけを批判するのは筋違いかもしれない。自分の命と引き換えに沖縄を米国に手渡した昭和天皇や岸信介、そして、長い間、米国に沖縄支配を許してきた自民党政権に最大の責任がある。
雁屋哲によれば、鳩山首相は「米国に初めて意義申し立てを行った」人物であり、それだけでも十分評価されるべきだが、その上、普天間飛行場をグアムなどの海外に移設できれば、日本の歴史上、最も尊敬される首相としてその名を残すことになるであろう。日本のためにも、沖縄のためにも、鳩山首相には、官僚に言いくるめられるのではなく、ぜひ、自分の頭で考えて答えを出していただきたいものだ。
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