2008-08-26
で、結局買ったのはRITEWAY SHEPHERD IRON. 長期レビュー
テスタッチはまだ遠いあこがれの世界。
そんな私にとって、シェファードは一目見てシルエットが気に入った。そして価格に驚いた。
シェファードアイアン、こいつはスポルティーフの正常進化だ。とひとまず言い切ってしまうことにする。
ドロップのDでもなく、フラットのFでもない。「鉄の羊飼い」の標準仕様はブルホーンだ。
クロモリ、ブルホーン、シルバー基調のカラーリング、値段、この商品設定は総合的にみてとても巧みだとおもう。
SHEFARD, SHEPHARD, いろいろスペリングされてるが shepherdが正解です。シェファードとフリガナされているがシェパードのほうが近い。ここでは便宜的にシェファードにする。
購入して数週間後の2008年8月末、RITEWAY JAPANの公式サイトにようやくこのモデルの簡単な紹介記事がでた。→http://www.riteway-jp.com/topics/shohin/img/080805/09rw_shepherd_iron.htm
写真は色がおかしい。実物はこれほど茶色がかってはいない。もっと薄緑色がかっているがPCディスプレイ上では再現が難しいようだ。
細身のクロモリにラグではないがなめらかに磨かれた溶接、塗装の質も悪くない。
塗装のことは詳しくないが、鉄の上にホワイト、そのうえにウグイスグリーン、そしてクリアがのっているようだ。
ブルホーンバーのせいでクロスバイクに分類されてしまうことがあるようだが、シェファードアイアンは決してクロスバイクではない。
ブレーキはカンティでもなければVブレーキでもない。アーチが長めで太めのタイヤもはいるもののキャリパーブレーキだ。
タイヤはこれ以上細いものはない23cだ。
石畳ではハンドルをとられるが舗装路ではすこぶる快適だ。
昔のロードバイク乗りがこの自転車をみて二言目に言ったのは「これ、チューブラかな?」
セミディープリムとあいまって細いシルエットにみえるからだろうか。
奥深いロードバイクの世界での位置づけは、正直、軽快車に毛がはえた程度のものかもしれない。
しかしフレームセンターはきちんとでていたし、座ったままでも平地で60km/hまで加速できる(維持できないが)。
これがロードの楽しさか、と感じさせてくれる。
色は一色。選べない。しかし珍しい色だ。口の悪い友人はシェファードアイアンのウグイスグリーンを「鳥の○○コ色」と呼ぶ。そうかもしれない、と日がたつにつれ思う。
しかし6万円程度と安価だ。
フレームはクロモリで、バックフォークはハイテンションスチール。
ボトムチューブのダブルレバーが懐かしい。→シェファードのダブルレバーについてはこの記事をみて欲しい。http://d.hatena.ne.jp/harmoniamonde/20080902
RITEWAY SHEPHERD IRON 2009 model 諸元:
クロモリメインチューブフレーム、ハイテンションストレートフォーク、700x23C、16S(2X8)、QRハブ シマノRD-2200メカ R400シフター(Wレバー)、52x39カートリッジBB、カセット8S、ブルホーンハンドル、TEKTROロングアーチサイドプルブレーキ、TEKTRO補助レバー(アシストブレーキ)
2009年モデルの諸元はまだ公開されていないようだが、昨年のSHEPHERD 3.0とほとんど変わらない。
昨年モデルSHEPHERD 3.0の諸元をもとに調べた限りのパーツ類の詳細を以下に示す(一部はSHEPHERD 3.0のデータのまま)。
商品コード | 9792386 ・ 9792306 ・ 9792326 |
価格 | ¥62,790 (税抜き価格:¥59,800) |
サイズ<適応身長> | 500mm<170〜190cm>、 |
カラー | ウグイスグリーン |
フレーム | クロモリメインチューブ ハイテンバックフォーク(2009もバックフォークはハイテンション鉄?) ハイテン ストレートブレード(フォーク) |
クランクセット | 170mm HA 52T×39T PCD φ130mm |
BBパーツ | CH-51 カートリッジ |
ペダル | VP PPボディ ラバートレッド |
フロントディレーラ | SHIMANO FD-2200 |
リアディレーラ | SHIMANO RD-2200 |
シフター | SHIMANO SL-R400 16S |
フリーホイール | DNP カセット8S 12/23T (HYPERFLO EPOCH 8V) *1 |
チェーン | KMC Z72 Narrow Z ミッシングリンク対応のはず |
リム | ALEX R-450 アルミ |
タイヤ | KENDA 700×23C F/V |
フロントハブ | FORMULA アルミ QR |
リアハブ | FORMULA アルミ カセット QR |
スポーク/ニップル | 15G ステンレス ブラック/ブラス |
フロントブレーキ | TEKTRO アルミ サイドプル キャリパー |
リアブレーキ | TEKTRO アルミ サイドプル キャリパー R316 |
ブレーキバー | TEKTRO アルミ & 補助レバー TEKTRO RX4.1 エイドアーム |
ハンドルバー | LEADTEC アルミ ブルホーン 25.4mm |
ステム | HL アルミ 150g top tube 31mm |
グリップ | CO-UNION ポリウレタンテープ |
ヘッドセット | Chin Haur(Chin Hwa) CH-201TW AH |
サドル | VELO VL-2059 |
シートピラー | KALLOY アルミ φ27.2 |
シートクランプ | KALLOY ボルト & ナット |
その他 | ベル、リフレクター、キックスタンド |
参考重量 | 10.9kg |
フレームスケルトンがどこにも載っていないようなので計測してみた。mmの精度ではないのでcmで掲載。値はすべてCC(center to center, パイプや軸の中心から中心)表記。
2009年モデルのシェファード アイアン ブルホーン | 480mmの場合。 |
ハンドル幅ブルホーン部 | 40cm c/c |
ハンドル幅フラット部 | 34cm end to end |
トップチューブ | 51cm |
ステム | 11cm |
フォークオフセット | 未計測 |
シートチューブ | 42cm |
シートチューブ後退 | 15.5cm |
シート後退 | 23cm |
ヘッドチューブ | 12cm |
フロントセンタ−*2 | 約57cm |
リアセンター*3 | 約41cm |
後輪軸地上高 | 34.5cm |
BBチューブ地上高 | 27cm |
ダウンチューブ長 | 62cm |
バックフォークスラントチューブ | 45cm |
バックフォークストレートチューブ | 41.5cm |
エンド幅 | 130mm |
重量 | あれこれつけて12.6kg |
前後ホイール | 3.2kg タイヤ、チューブ、クイック込み |
おなじみのwrench scienceで自分のサイズをいれると
Your Measurements
Height: | 172.00 cm |
Sternum Notch: | 140.00 cm |
Inseam Length: | 79.00 cm |
Arm Length: | 60.00 cm |
Shoulder Width: | 43.00 cm |
Flexiblity: | 7 |
Weight: | 72.00 kilo |
Foot Size: | 43.00 EURO |
最大限にスパルタンなサイズがでてくる。
WS Recommended Sizes
Frame Size center-to-center: | 51 cm |
Frame Size center-to-top: | 53 cm |
Overall Reach: | 64.50 cm |
Saddle Height: | 69.76 cm |
Handlebar Width: | 44 cm |
で現在の自分のセッティングはどうか。
フレームサイズ cc | 48cm |
トップチューブ | 51cm |
現在のオーバーオールリーチ | 62cm |
現在のシート地上高 | 96cm(69cm) |
ハンドルバー幅 | cm |
現在のハンドル地上高 | 88cm |
シート/ハンドル高差 | -8cm |
自分の体にあう簡単なフレームサイズ(自転車サイズ)のチェック方法はこちらをみてほしい。なにもなくても一瞬でできる。
Wrench Scienceによると
FRAME SIZE: Frames are measured different by each manufacturers. There are two typical ways to measure a frame Center-to-Center (c-to-c) and Center-to-Top (c-to-t). Since you have gone through the WS Fit System we take these different measurement methods into account and only show you the fames that fit you specifically. In addition to the c-to-c and c-to-t measurements there are also slopping or compact frames. In these cases the manufacturers also provide what is called a virtual measurement, e.g. what the frame size would be if the frame didn’t have a sloping top tube. We show all frames sizes in virtual measurements as this is how the frame will fit you.
cc/ct 表記の違いですな。これはカタログじゃなくて実測してるので関係ない。
OVERALL REACH: Overall Reach = (Effective Top Tube length + Stem Length). We know the top tube on every frame we sell so based on your overall reach we recommend the ideal stem length for that frame based on your fit recommendation.
RECOMMENDED SADDLE HEIGHT: Saddle height is determined by a fraction of the riders inseam. The recommended saddle height can vary for each cyclist. All recommendations have a plus or minus 1.5cm variance.
HANDLEBAR WIDTH: Is a direct correlation to your shoulder width.
ハンドルバーの幅は肩幅と一致。でも狭い目が疲れにくいとは弟談。たとえば44なら42とかにする。
コンポーネント
採用されているFD-2200, RD-2200はSORA(3300)以下の無名のシマノロードコンポ。
チェーン
チェーンは純正ならHG-50というところだが、KMC。これは悪くない。
1週間ほどでブレーキ(パーツ)クリーナーで清掃してもともとついていた真っ黒な油を洗い流し、ドライなシリコンオイルをスプレーした。その後洗浄することなくフィニッシュラインのセラミックロードを塗布。たしかに静かになったがみながいうように無音というほどではない。チェーンの動きはたしかにスムーズにはなった。満足したのでOK。長期的にみて問題があればまた報告する。
→関連記事http://d.hatena.ne.jp/harmoniamonde/20080828/p1
タイヤ
タイヤはKENDAのクリンチャー。シルエットが細めでスマート。組み付けはトレッドバターンが逆についていた。これじゃブレーキは効かないし、転がらない。逆にした。
色について
車体はシルバー+ウグイスグリーンの基調トーンでまとめられている。
さわり心地
バーテープはぬれた手で触るとたいそうすべるが、クッション性はよい。
ブルホーン部分も下側にブレーキケーブルが通っている関係で妙に手にフィットするかたちになっている。しっかりにぎって安定した姿勢で加速できる。
サドルについて
標準サドルは見た目はいいけど乗り心地は悲惨だ。最初の数百メートルでこれはあわんと感じ、
9km x2本走っただけで内股がすりむけて赤くなり、さらに数日間尻が打ち身で痛かった。
あまりサドルに体重かけて乗るほうではないのだけれど、これはたえられない。
いまはselle-smp strikeをつけてる。変なサドルで乗り心地も異様だが坐骨が座っているってかんじが確かにする。段差でもつきあげは普通のサドルより弱めに感じる。意外とわるくない。
サイズについて
わざと一番小さいモデルにしたが480mmは身長172の僕にちょっと小さい。
ステムをもすこし長いのに交換するかもしれない。
変な音
前後のハブ付近から低速走行での加減速にあわせてシューシューと音程がかわるプラスチックをこするような音がでる。
停車して自転車を持ち上げ車輪を空転させてみるとブレーキがあたっているようにすぐとまる。ハブにゴミがはいらないようにするための黒いゴム部品が大きな抵抗になっていた。すぐ取り除いた。
取り外したゴムスカート
最初ハブについているこの黒いゴム部品を外すことでロスは大幅に少なくなる。
これがブレーキのように引きずられていて変な音もする。ハブへのほこりなどの進入を防いでいる部品のようだがちゃんとメンテすれば不要なはずだ。
取り外したそのせいでさっさと壊れれば新しいホイールも買える。
どのみち埃が入るところなので日ごろのブレーキクリーナー&速乾シリコンオイルによる簡単メンテで気をつけることにする。
アルミ製のサイドスタンドは2週間で壊れた。
取り外してみるとフレームに傷がつかないように分厚い透明テープを巻いた上で組みつけている。
しかし調整はできていない。
シマノパーツ
リアディレーラーの裏側をみると安いモデルであることがよくわかる。
シマノパーツはフロントディレーラーとリアディレーラー、シフターのみのよう。BBもハブもカセットもいまのところ正体未確認別々のメーカーがつくっている。
懐かしのダブルレバー。だがこれはただの懐古趣味だった。
やっぱり街中で乗るにはエルゴパワーやSTIが便利であり、安全だ。
ブレーキレバー
2種類ついてるが、どちらもTEKTRO製。→関連記事 http://d.hatena.ne.jp/harmoniamonde/20080828/p1
アシストレバーのほうがよりブレーキアームに近いため操作感がかっちりしてる。
だがテコの作用は弱めで、力いっぱい握る必要がある。
バーエンドレバーでは操作感はしんなりしている。握るとバーテープに共止めで巻かれたケーブルが浮き上がるのがわかる。
コントローラブルだが剛性感はない。
すぐにワイアーが伸びてきたので調整した。
初期伸びをとるほど丁寧にはつくっていない。
店側ですることは前後ホイールをクイックで取り付け、ハンドルをつけてシートポストをひっぱりだすくらいだ。
走行中、ときおり引きずられる感じがするのはベアリングまわりだろうか。
しばらく乗ってみて思うのは、当たり前だがこの値段ではまじめなロードバイクはムリってことだ。
ホイール、ハブ、ブレーキ、……信頼できる部品をつけていけばどんなに安いクロモリフレームでも15万くらいになる。
初めてのロードに15万円は感覚的には高い。しかし自転車が嫌いでなければ&他にもモチベーションがあるならどんな価格で購入しようがすぐに周辺機材などで10万は消える。
6万程度の半端なおもちゃに乗るなら、15万程度でよりまともなものが手に入るならいいではないか。
でもいいのだ。この気楽さが気に入っている。
購入店のQBEIでは数千円の出費で盗難保険(店では保険とは呼んでいない)が手に入るが、この上限が本体価格10万円だ。それ以上の金額になると店のリスクが大きいからだそうだ。だが実際に被害に遭う率が高いのはこれまでのところ、2〜3万円程度の軽快車(いわゆるままちゃり)が圧倒的だという。
クロモリフレームの世界は20万程度+コンポに12万、ホイールに8万、サドルその他で5万も出せばほぼ誰でも満足いくものが手に入るだろう。
その点を考えても、毎日気楽にのれるシェファードアイアンは十分以上にコストパフォーマンスは高い。
ロードの雰囲気楽しんでみたい人にはいいかもしれない。
町中にあふれている他のどの自転車よりも軽快に、そしていい汗をかいて目的地につくだろう。
だが楽しんで好きになった人はこの投資がある意味無駄になるかもしれない。
価格の厳しい制限のなかで各パーツがよく選ばれているのでシェファードアイアンは部品を交換しなくてもとりあえずそこそこ乗れる。
しかしブレーキは近いうちに交換したくなるだろう。
その次はホイールだろう。
そして結局フレーム+コンポを購入することになる。
結果として6万の初期投資は一面ではほぼ無駄になるとおもっていいだろう。
ロードバイクは楽しい。ちょっと乗っても、そしてメンテナンスしても。
自分の体でここまでいけるのか、と感じることがこの楽しさ、ロードバイクの魅力の源泉だろう。
より遠く、より速く、より楽に。
この誘惑にひとたび誘惑されると、財布と体脂肪は最後の一滴まで搾り取られるだろう。
私はもう魅了されている。
結論として、シェファードアイアンはロードバイクの世界の楽しさが自分に合っているかを試すいい試金石のひとつになるとおもう。