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20100512

[]中村橋さんによるMK2さんの紹介

 タイトルどおりの内容です。


 1970年くらいに北海道のどこかで生まれる。6歳のころに父親が居間でぶっ倒れたと思ったらなんか死んだらしい。

 8歳くらいのころに文字が書けるようになったらしく、それ以降の記憶はわりとある。

 9歳くらいから本が読めるようになる。読んでいたのは小学校の図書室にあった偉人伝とかわかりやすい歴史の本とかそういうの。ほどなくマンガも読めるようになる。好きだった作品は「銀河鉄道999」とか「キャンディ・キャンディ」とかだった。このころは家に金がなく、本をまったく買ってもらえなかった。マンガはたまたま母親の知人の家から100冊くらいのまとまった量をもらった。それ以外では、廃品回収っぽいので雑誌が捨てられていることがあったので、そういう場所で、りぼんとかひとみとか別コミとかを拾ってあるく。その結果として昭和54年の何月号とかだけについて記憶があって、後年になってコミックを買ったときに、その月の号の内容だけ見覚えがあるという現象が頻繁に発生する。

 10歳くらいのころから司馬遼太郎を読むようになる。たまに家に来る叔母が、本ならなんでも買ってくれる人だったため、購入することができた。なんで司馬遼太郎を読むようになったかはまったく記憶にない。リアルタイムで読んでいたせいか、いまでも「菜の花の沖」は大好きな作品。このころから母親がだんだん変になってきて理解できない生物っぽくなる。MK2さんはだんだん登校拒否気味になり、母親が出社してから家に戻り、日がな一日金魚鉢とか畑とか見て過ごすようになる。母親からは放置されてたので特にお咎めなし。

 またこのころ、母親の交際相手(妻子あり)から頻繁に脅迫の電話がかかってくるようになる。同時期、母親が家に帰ってこなくなることが数度あり、人間はごはん食べれなくなると死ぬので、ごはん食べれることがもっとも重要なことだと思うようになる。夜は怖かったので本のなかに逃避することを覚えるようになる。

 11歳のときに北海道から横浜に引っ越してくる。たまに遊びに来る叔母が本を買ってくれる以外には本を入手する方法がないのはあいかわらず。近隣の区立図書館に通う。俺が本を読むことを母親が嫌っていたため、可能な限り外で読む習慣がつく。

 14歳のときに母親が再婚する。またかと思っていたが、再婚が成立したことに驚いた記憶がある。同時期、父親の金をくすねて少女マンガを買ったため、なんかひでえことになる。

 高校生になってアルバイトを始める。バイト代は家に一部入れるという約束だったが、実際はほとんど自分の手には残らず、やけになって給料日にすげえ飲み食いしてパチンコで2万円くらい使ったらバイト先に母親から電話が行って「やめさせてください」ということになってた。そういうことを数回繰り返してるうちになんかもうバイトとかどうでもいいと思うようになる。というより、なにもかもどうでもよくなる。マンガさえ読んでればいいと思うようになる。

 18歳のときに、富士通のワープロ、オアシスを入手する。いまにまで至る親指シフト人生の始まり。発狂したかのように大量の文章を書き始める。2HDのフロッピーディスクで少なくとも90枚くらいの文章を書いた。とりあえず、花王のフロッピーは環境の変化に弱くてあとでがっかりする結果になることが多いことを学んだ。

 19歳のころに、その後社員となる会社が持っているコンビニでバイトを始める。そのころには母親との折り合いの悪さは決定的となっており「おまえのためを思って」という理屈で「家を出ていけ」と言われる。幸いにもその会社が、寮つきで社員を募っており、住む場所は見つかったので、とっとと家を出る。

 金が自由になるようになったので、壊れたようにマンガを買い始める。このころ、元同居人のやざわさんが車の免許を取ったので、2人で横浜中の古本屋を回ってあるき、ひどいときは一日50冊とかマンガを買うけどほとんど少女マンガ。そのまま数年似たような生活を続ける。金銭感覚は完全にぶっ壊れており、20歳そこそこで年収500万以上あったのになんでか知らないけど給料がなくなって前借して生活しているような状態。ボーナスは入ったその日に秋葉原でオーディオ機器買ってほとんど消えてた。

 24歳だったかそれくらいのころから友人のやざわさんと同居を始める。いまでいうルームシェア。

 25歳のときエヴァの放映があって綾波が好きすぎてなんかおかしい状態になる。さくらちんとはこのころか、もうちょい前からのつきあい。

 27歳だったかそんくらいのときに、元同居人やざわさんの策略により「ToHeart」というゲームをやらされる。そのゲームの登場キャラクターであるHMX-12型のロボットっぽい女の子に、それはどうかと思うような急転直下のハマリかたをし、よく考えたら俺のおしっこ趣味ってマルチのせいなんじゃねえか。いま気づいたぞこんちくしょう。その後「痕」→「雫」と連打を食らい、瑠璃子さんに至ってどうしようもない状態になるがえちしーんとしてはふきふきがあるぶんさおりんの勝ち。勝ち負けの問題か。

 その後、生きよっかなー死のうかなーとか考えてて、結局死ぬことに失敗しつつ27歳だかそんくらいのときに「ONE」というゲームの直撃を食らう。それまで俺は人間が怖いあまり「自分は人間のクズなので近づかないでください」という態度を貫徹していたのだが、作中のみさき先輩というキャラがちゃんと生きてて、このままの自分じゃみさき先輩を好きになることすら許されないんじゃないかと思ってなんとかしなきゃ思ってなんとかしようと思うんだけどどうにもならない。

 翌年に「Kanon」というゲームやる。だめになる。ほんとにもう、だめになる。特に真琴とかすっごいだめ。同じころ、インターネットにつながるようになる。「魔法の笛とぎんのすず」というサイトを知って、俺以外にもこの世界はフィクションのキャラクターが大好きという以上になんかそれがないとほんとに生きてけないような人種がいることを知り、自分でもなんか書いてみたいと思って「づしのもり」っていう日記サイトを、同居人やざわさんと一緒に始める。死エロの方だとか、アシュタサポテの方だとか、今木さんだとかの知遇を得てアクセス増える。当時で1日300くらいのアクセス。日記本体だともうちょっとあった、らしい。掲示板に集った異常に濃いメンツとの関係はその後10年以上も続いている。

 リードミージャパン(響きそのものが懐古的)に登録して順位とかすごいがんばる。基本的に当時からやってることは変わってない。リードミーのランキングを見ると、いつも上のほうにいる「アドレナリン・ショック」というサイトを知ってよく読むようになったんだよナツさん。はてなの人なら知ってる方も多いだろう「電脳ポトラッチ」の前身のサイト。ナツさんの基本的な論調は当時もいまもあまり変わらないんだけど、影響を受けた部分は多々ある。いま紅茶こぼした。雷うるせえ。うさぎが警戒してる。

 翌年あたりに「AIR」っていうゲームやって、なにかが決定的にだめになる。

 29歳だか30歳だかのあたりに結婚。しばらく「結婚している自分」とのチューニングがとれなくておかしい感じになる。実際にはオタとしての俺はこのへんで終わってたと思う。しかし日記書いて公表する生活はあいかわらずで、最終的にはミクシでの引きこもり更新あたりに落ち着く。3年くらいはそれやってたと思う。

 その後、ぱにぽにあたりをきっかけにオタ復帰。3年前くらいだっけか。このブログ立ち上げたの。紆余曲折あって「アクセス増やそう」と思って増えた。1年ちょっと前くらいからついったー始める。ここで初めて「生身のMK2さん」として多くの人と交流するきっかけができる。雷まじでうるせえ。

 そんで、アクセス増えたことや、人間としての自分を直接に評価されるような状況から、どうにも「書くこと」に対して整合性がとれなくなってくる。その反面「読ませる」ための技術には磨きがかかる。

 そんでここ最近、自分の過去ログを読み直して気づいた。最近劣化してる。少なくとも、現在の自分よりも過去の自分のほうが「書けてる」と思うことは初めての経験だった。


 それからいろいろ考えた。いちばん考えたのは「MK2さんにお仕事とかの話題を書かすべきではなかった」ということだ。もともと俺にとって「書く」作業は、すべて「現実では絶対に口にすることができない」すべての言葉を文章化する作業のことだった。そしてその最たるものは、たとえばるりちゃん好きすぎてなっちゃんになってるりちゃんからかいたいとか、デイジーのながぐつのなかはどんなにおいになってるのかなとか、砂沙美ちゃんは意外に体臭あってぱんつとかやばい感じじゃないかなとか、こおろぎさとみの声で「おにいちゃん、おねしょしちゃった……」とか聞きたいとか、もし本当に真琴が幸福になるのならば自分の存在は消えてもいいとか、観鈴ちんをとりまく夏の大気になって消滅したい、ジェット気流に乗って地球を何周しても俺はきっと観鈴ちんの幸福以外のものは願わないとか死にたいとか殺したいとか絶望したとかうんこすごいいっぱい出たとかそういうことであって、そういうこと言う人は現実の自分の生活に関わっちゃだめなんだよ、あっち側にMK2さんいるからね、ということだったと思うのだ。

 いまMK2さんはけっこうな人気者になったと思う。好きなキャラクターのランキングとかを富士通の、辞書がすっごいおもしろい変換して「いくことになった」って入力すると「育子とになった」っていう謎のカップリングを生成するようなワープロで何年も書き続けて、読む人といえば同居人やざわさんだけで、そんな場所から始まって、死ぬとか生きるとか、この世界はとか、おしっこは飲むものではなく浴びるものだとか、そんなこといっぱい書き続けて、ついには仕事についてまで語りだした。ついったーやればフォロワーはがんがん増えるし、なんかいっぱいふぁぼらて6万だっけか、いま調べたら65877とかふぁぼられてる。

 3畳間の片隅でワープロぶっ叩いて、いかに自分がそのキャラクターを好きであるかを連日書き続けてた18歳の陰気な包茎ちんちんの男は、そのままのスタンスで気がついたら人気者になってた。

 でもさ、じゃあなんのためにMK2さんいるの。仕事の話なんてリアルでもできるよ。いつもしてるよ。ついったーで「あずにゃんの口にすあまぶちこんで、まんなかに穴あけてコンデンスミルクを注入して反対側の穴から俺の息を注入してあずにゃんのほっぺた膨らませて泣かしたい」とかポストしたら、きっと賛同してくれる人現れるよ(さすがにそれはどうだろう)。

 原点はあのワープロ。あそこからすべてが始まった。じゃあそこに回帰してみようかとも思ったけど、気がついたら「だれとも共有できないキャラクターへの強い愛着」なんてもうなくなってた。あたりまえだよ。もう死にたくないんだから。そこまで必死に瑠璃子さんとか観鈴ちんとか名雪とか真琴とかそのほか数限りない女の子にすがりつくようにしてかろうじて自分の生命を保ってるような、そんな状態じゃなくなったんだから。趣味になったんだよ。単なる。

 じゃあ、それはもうMK2さんじゃないな、と思った。死エロの方が「姿勢ではMK2さん」って言ったそのMK2さんはもういない。「自分より前にMK2さんがいるからまだ平気」とまで言われたMK2さんはもういない。だって仕事について語っちゃうんだもの。仕事だよ仕事。10年前のMK2さんが聞いたら脱糞スクリュードライバーッッッとか絶叫しながらうんこ射出して回転しながら爆笑するような事態だよ。きたねえ技だなあ。

 俺はさぁ……あー、認めるべきだろうね。成長したよ。社会的適応って意味でさ。成長したんだよ。20人からの従業員をきっちり管理して、レベルの高い店作るくらいにさ。別に魂削られなくてももう生きていけんだよ。でも魂削らないで技術だけの文章書いたり、仕事について語ったりするのは、それはもうMK2さんじゃないね。断言してもいい。

 だからMK2さんやめました。


 こんにちわ。中村橋です。別の人です。

 別の人がなに書くかはわかりませんが、今後ともよろしく。