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郵便不正事件、今度は村木・厚労元局長の共謀認める判決

2010年5月11日14時58分

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 厚生労働省から自称障害者団体「凛(りん)の会」(現・白山会、東京)に偽の証明書が発行された事件で、虚偽有印公文書作成・同行使の罪に問われた同会元幹部、河野克史(ただし)被告(69)の判決が11日、大阪地裁であった。横田信之裁判長は、共犯とされる同省元局長との共謀関係を認め、懲役1年6カ月執行猶予3年(求刑懲役1年6カ月)を言い渡した。

 横田裁判長は、一連の事件でそれぞれ起訴された同省元局長の村木厚子被告(54)=公判中、無罪主張=と部下で元担当係長の上村勉被告(40)、凛の会元会長の倉沢邦夫被告(74)の公判も担当。偽の証明書発行について起訴内容を否認した倉沢被告の判決(4月27日)では、村木元局長との共謀を認めずに一部無罪を言い渡した。

 一方、河野被告側は村木元局長を共犯とした起訴内容を認め、上村被告らが元局長の事件への関与を認めた捜査段階の供述調書の証拠採用にも同意。横田裁判長は今回、公判で示された証拠と主張を踏まえて河野被告と村木元局長の共謀関係を認めた形だ。だが、上村被告らが捜査段階の供述調書の内容を翻した元局長の公判では、これらの調書を採用したとしても、その信用性を慎重に検討したうえで、元局長の関与の有無を判断するとみられる。

 判決によると、凛の会の発起人だった河野被告は2004年、同会が障害者団体としての郵便割引制度の適用を受けるための証明書の発行担当課長だった村木元局長や上村被告、倉沢被告と共謀。河野被告は同6月、村木元局長が上村被告に作らせた偽の証明書を、同会関係者に指示して郵便局に提出させた。

 判決は、河野被告が倉沢被告に有力国会議員の口利き依頼を要請したり、自ら上村被告に発行を働きかけたりしたと指摘。「厚労省が発行する証明書の真実性に対する信頼を著しく害したが、反省している」と述べた。

     ◇

 村木厚子元局長の弁護人の弘中惇一郎弁護士は「村木さんと河野さんの裁判は社会的には共通する事件だが、裁判では主張や証拠が違うので結論が異なるのは当然。今回の判決は、プラスもマイナスの影響もない」との談話を出した。一方、大阪地検の玉井英章・次席検事は「検察官の主張を的確に評価した適正・妥当な判決だ」としている。

     ◇

 〈郵便不正事件〉 障害者団体向けの郵便割引制度を悪用し、実態のない団体名義で企業のダイレクトメール広告が格安で大量発送された事件。大阪地検特捜部が昨年2月以降、「凛の会」元会長の倉沢邦夫被告らを郵便法違反容疑などで逮捕。さらに同会が割引制度の適用を受けるための偽の証明書が発行されたとして、倉沢被告や厚生労働省雇用均等・児童家庭局長だった村木厚子被告らが虚偽有印公文書作成・同行使罪で起訴された。大阪地裁は4月、倉沢被告に対し、村木元局長との共謀を認めずに同罪について無罪を言い渡し、検察側が控訴している。

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