【5月9日 AFP】18年前、サード・カタニ(Saad al-Qahtani)さんは、サウジアラビアのメッカ(Mecca)とジッダ(Jeddah)の間の砂漠を運転していたところ、愛車のシボレー・サバーバン(Chevrolet Suburban)が壊れ、立ち往生してしまった。
故障を直せなかったサードさんは、次善の策を実行。愛車を家にして、そこに住むことにした。
8日のサウジ・ガゼット(Saudi Gazette)紙によると、いま61歳のサードさんの両親や姉妹は、当時すでに全員亡くなっていた。また、健康上の問題で警備員の仕事を解雇され、その後畜産業を営もうとしたものの全ての牛に逃げられ、日雇いの仕事などでその日暮らしの生活を始めたところだった。
そして運命の日、赤と白に塗られた愛車がギブアップした。サードさんは整備士を呼ばず、そこに永住することを決意。いまやタイヤは車体から外れているが、運転席側の砂の上にはカーペットが敷かれ、来客をもてなすこともできる。
サードさんは、「通りがかりの人たちや周囲の牛小屋のオーナーから、食べ物や飲み物をもらっている」と語る。
「結婚したことはないし、したいと思うけど、安定した生活を与えるすべがないからね。どうやったら自分みたいなのが結婚して、子どもを作って、養ってやれるっていうんだ」
しかし、サードさんは健康であることが幸せだという。また、静かな砂漠に住むことも気に入っているようだ。
「都会の喧騒から離れていられるのは、いいことだよ」
(c)AFP
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