【マニラ=吉枝道生】フィリピン大統領選で当選を確実としたベニグノ・アキノ上院議員(50)は十一日、地元タルラック州で記者会見し、「権力を国民に取り戻す。私は自分が盗みをしないだけでなく、盗みをする者は逮捕させる」とあらためて汚職一掃を誓った。アキノ氏は得票率約40%で圧勝の見通し。
アキノ氏は「国会で正式に当選が宣言されるまで、勝利宣言はできない」としていたが、対立候補のビリヤール上院議員(60)らが次々と敗北を認める会見を開いたことから会見に応じ、選挙戦で掲げた「汚職がなければ貧困もない」のスローガンを繰り返した。
汚職撲滅は、各候補が一斉に公約に掲げたフィリピン最大課題の一つ。
過去の政権も常に「汚職撲滅」を口にしてきたが、アロヨ長期政権下で事態は深刻化するばかり。国民もアキノ氏にそうした現状の打破を求める。
アキノ氏は会見で、まずアロヨ現大統領一族や政権内で相次いだ汚職疑惑を徹底的に調査し、反汚職法を適正に執行していく−と説明。
しかし、「強力な政治力を持たないアキノ氏には無理」との批判もある。
アキノ氏は閣僚人事の検討を始めたことも明らかにした。アロヨ政権で大統領の選挙不正疑惑に抗議して辞任した閣僚にも就任を打診し、民主化のシンボル「アキノ」の名の下に、強力なチームをつくり上げたい計画だ。
新大統領の就任は、国会で当選が承認された後の六月三十日。
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