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運転員への教育不十分

もんじゅ操作ミス

「もんじゅ」で起きた制御棒の操作ミスについて説明する向所長(右、敦賀市役所で)

 日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」(敦賀市白木、試験運転中)で10日夜に起きた原子炉制御棒の操作ミスについて、敦賀市役所内で11日に記者会見した向和夫・もんじゅ所長は、運転員への教育が不十分だったことが一因と認めた。1995年12月のナトリウム漏れ事故以来、14年5か月に及ぶ“技術の空白”を埋める困難さが改めて浮き彫りとなり、国や地元自治体からは体制改善を求める声も上がった。

 制御棒は、原子炉内の核分裂反応を調整する装置。機構によると、もんじゅの制御棒は19本あり、うち緊急停止用は6本、通常の調整用は10本、微調整用は3本。操作ミスがあったのは微調整用で、原子炉内に最後まで挿入しようとすると、挿入速度が最終段階で通常より遅くなるよう設定されている。

 担当した運転員は原発運転経験8年程度の中堅だが、微調整用を全挿入する操作は初めてだった。挿入速度が極度に遅くなったため、制御棒が動かなくなったと思い込み、作業を中断したという。

 14年5か月間のもんじゅの停止中、運転員らは中央制御室を忠実に再現した設備「シミュレーター室」で訓練を重ねてきた。しかし、今回のような微調整用の全挿入操作時に速度が遅くなることまでは訓練していなかったという。

 向所長は「シミュレーターですべての運転操作を経験できるわけではない」と認めた上で、「おかしいと思って、止めて調べた。より安全を考えてのことで、運転員らの対応には問題はなかった」と釈明した。

 だが、経済産業省原子力安全・保安院の森下泰・地域原子力安全統括管理官は「機構は今回の問題をよく検証し、運転員の教育内容の改善に反映させる必要がある」と指摘。敦賀市原子力安全対策課の本多恒夫課長は「対応は慎重を期したものだったと思うが、操作ミスは『仕方がない』とは言えない。安全だけでなく、市民の安心にも万全を期してほしい」と話していた。

2010年5月12日  読売新聞)
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