パッキャオ政界進出！国民的英雄、選挙も“ＫＯ勝ち”

　プロボクシングで、アジア人初の世界５階級制覇を達成したＷＢＯ世界ウエルター級王者マニー・パッキャオ（フィリピン＝３１）が、１０日投開票の同国下院議員選挙で当選確実となった。０７年の同選挙では落選したが“リターンマッチ”で勝利。日本でも、夏の参院選で柔道五輪金メダリストの谷亮子（３４）ら現・元スポーツ選手の出馬表明が花盛りだが、フィリピンでは一足先に国民的英雄が政界入りする。

　ボクシングで階級の壁を次々とブチ破ってきた“アジアの星”が、ついに政界進出を決めた。

　パッキャオは、大統領選挙と同時に行われたフィリピン下院選挙に、妻の実家があるサランガニ州（ミンダナオ島）から出馬。対立候補は地元有力者の一族だったため苦戦が予想されていたが、フタを開けてみれば圧倒的人気がものをいった。

　出馬は２度目だった。２００７年にも下院選に、自身の故郷である南コタバト州（ミンダナオ島）から出馬するも落選した。だが、実はその時の落選の背景には“パッキャオ人気”の高さがあった。当選すればボクシングを引退してしまうという見方があり、彼のファイトをもっと見たいファンは、票を入れなかったといわれている。国民的英雄ならではの“敗因”だった。

　その後の３年間で、近い将来の引退を示唆するようになっている。ファンも心の準備ができたのか、今回は満を持してパッキャオに投票したようだ。貧困からはい上がり栄光をつかんだ王者は、同じように貧困に苦しむ人々の生活の改善を掲げて、政界に乗り込む。

　本業のボクシングでは、３月に米国で、現在保持するウエルター級王座の初防衛に成功したばかり。同じ時期に、元世界５階級制覇王者フロイド・メイウェザー（米国）との夢の対決が浮上していたが、禁止薬物検査の方法をめぐり、立ち消えに。ただ、対決を望む声は大きく、年内に実現する可能性もある。現役を続行した場合、パッキャオは、谷亮子の“議員でも金”ならぬ、“議員でもチャンピオン”を実践することになる。

　◆マニー・パッキャオ　１９７８年１２月１７日、フィリピン・ブキドノン出身。３１歳。１６歳でデビューし、ＷＢＣフライ級王座に始まり、現在保持する王座を含め、メジャー団体の５階級制覇を達成。階級差がなかった場合を考えた「パウンド・フォー・パウンド」で世界最強の評価も。また、将来のフィリピン大統領候補ともいわれている。

（2010年5月12日06時02分スポーツ報知）

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