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【サッカー】

川口W杯4大会連続選出 今季公式戦出場ゼロのサプライズ

2010年5月11日 紙面から

歓迎イベントで市民の声援に笑顔を見せる磐田の川口能活(中央)=静岡県浜松市のJR浜松駅前で(山田英二撮影)

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 日本のゴールマウスを長く守り続けてきた2人の守護神が、ともに4大会連続でワールドカップ(W杯)の大舞台に挑む。GK川口能活(磐田)は今季公式戦に1試合も出場していないが、岡田監督から精神的支柱としての役割を期待され、サプライズ選出となった。一方、正GK楢崎正剛(名古屋)は岡田ジャパンの先頭に立って「ベスト4」の目標に向けた決意を新たにした。

 誰もが驚くサプライズ招集だ。W杯イヤーに公式戦出場ゼロで、本大会に挑む日本代表に選出されるのは史上初。4大会連続でメンバーに選ばれたこの日、磐田市内で会見に応じたGK川口は「99・9%無理なんじゃないかと思っていた。サッカーにかかわるみんなの思いを胸に、戦いに行ってきます」と力強く、抱負を語った。

 昨年9月の京都戦で右足脛骨(けいこつ)を骨折。全治5、6カ月の大けがと診断され、すぐに入院した。看護師の支えがなければ、歯を磨くことも、トイレに行くこともできない日々。しかし、川口はW杯出場への夢をあきらめなかった。個人トレーナーの指導で、強度のリハビリを始めた。「骨に刺激を与えないと、強くならない。本当に、泣きながら、リハビリをしていた」

 先月にチームに合流。練習試合で復帰したが、今度は内転筋を痛め、公式戦出場はならなかった。そんな川口を見捨てなかったのが岡田監督だ。指揮官は日本代表発表の前日の9日夜、川口に「力になってほしい」と電話で依頼した。立場は、第3GK。これまで3大会連続で、楢崎(名古屋)としのぎを削る定位置争いをしてきた川口にとっては葛藤(かっとう)があった。そんな守護神の背中を押したのが、川口の妻。「行ってきたら」のひと言に、気持ちは固まり、岡田監督に「行かせてください」と答えた。

 指揮官が期待するのは数々の修羅場をくぐり抜けてきた川口の経験と、周囲への気配りができる人間力。「多くの選手がW杯を目指して戦っている中、自分はまだ、公式戦にも出場していない中で選ばれ、責任がある。その責任を全うし、本大会にはベストの状態で臨めるようにしたい」。窮地に立てば立つほど、力を発揮する男の精神力に期待が集まる。

 

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