【コラム】「精神障害者」の芸能人がのさばる韓国(下)

 同グループのリーダーで「Bボーイ教授」のファン容疑者は、01年8月から入院と通院を繰り返し、03年11月に精神障害を装い、兵役免除の判定を受けた。ファン容疑者はこの間に、グループを率いて英国とフランスで開催されたBボーイ競演大会に出場し優勝した。ほかのメンバーもまた、ファン容疑者のように「ジキル博士とハイド氏」のような二重生活を行い、兵役免除や公益勤務(軍部隊へ行く代わりに公的機関で働くこと)の判定を受けた。

 警察によると、今回のBボーイ事件は精神障害を装い、兵役免除を受けた初のケースだという。だが芸能人の中には、「人格障害」「精神疾患」を理由に兵役の義務を行えないという判定を受けたにもかかわらず、積極的な活動をしている人物が少なくない。同グループは、就職のことを考える必要がなかったため、精神障害で兵役免除を受けたという社会的レッテルを張られることなどまったく気にかけていなかった。むしろ、精神障害者は銃器事故を起こすなど、ほかの兵士に被害を与える恐れがあるという理由で、軍が入隊を避けている点を悪用した。

 青少年たちは芸能人やアイドルを偶像化し、彼らの行動に興味を持ち、真似する傾向がある。精神障害を装い、兵役を免れようとする芸能人を見て、青少年が兵役の義務をどのようにとらえているのか心配だ。芸能人やスポーツ選手の兵役逃れは社会に及ぼす影響が大きいため、法を犯した者に対しては厳しく処罰する必要がある。それと同時に、兵役免除判定に対する事後管理も必要だ。「ファンたちは芸能人の兵役逃れとその手口を知っていたのに、兵務庁だけが知らなかった」という茶番が繰り返されている状況は放置する一方で、兵役義務の神聖さをアピールするのは、滑稽(こっけい)と言わざるを得ない。

趙正薫(チョ・ ジョンフン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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