偽ウイスキーの原価は1本2117ウォン(下)

 では1瓶当たりの単価はいくらなのだろうか。まず7000ウォン(約550円)のキャプテンQ1瓶で偽ウイスキーの5瓶を製造する。そのコストは1400ウォン(約110円)だ。これに、偽ウイスキー180瓶を製造するためのエタノールAの価格が約9万3000ウォン(約7400円)。よってそのコストは517ウォン(約41円)。水は無料。はちみつとチョコシロップはそれぞれ1万8000ウォン(約1440円)。1瓶あれば偽ウイスキー数百本を製造することが可能だという。高く見積もってもコストはそれぞれ100ウォンで、1本当たりの原価は200ウォン(約8円)となる。

 これらを合計した1本当たりの原価は、2117ウォン(約170円)ということになる。一団は、このようにして製造した偽ウイスキーを17年物1万5000ウォン(約1200円)、12年物1万2000ウォン(約950円)で販売していた。

 ただし、17年物だからといってはちみつやチョコシロップの量が多く含まれているわけではなく、単に瓶のラベルによって分けられているだけだった。実際に、店で販売されているウイスキーが1本3万-4万ウォン(約2400-3200円)。したがって、偽ウイスキーを売れば2万-3万ウォン(約1600-2000円)の利益が得られる。

 ルームサロン側も、最近割引競争が激しいため、偽ウイスキーの誘惑を感じるという。偽ウイスキーを売る店は、最初の1本目は本物を出し、2本目からは偽ウイスキーを出すケースが多い。また、泥酔状態で来店した客に対しては1本目から偽ウイスキーを出す。偽ウイスキーを飲んだ翌日は、消毒用エタノールAのせいでひどい頭痛がするという。

 ウイスキーは大韓帝国時代に、外国の使節団によって韓国に伝えられたと言われる。第2次大戦後に米軍が駐屯してからウイスキーが市場に出回り、50年代に偽ウイスキーが市場に氾濫したというのが定説だ。

 初期の偽ウイスキーは焼酎に茶色の色素を混ぜて真似る程度だったという。しかしその後、失明を招く恐れのある工業用エタノールが混入された偽ウイスキーが出回り、社会問題となった。

姜訓(カン・フン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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