早期留学:ある一家の悲しき結末(下)

母子3人が自殺、駆けつけた夫も「絶望の後追い」

 そんな中、現地では「韓国で一人暮らしをしていたペクさんが浮気し、家族を顧みなかった」など、さまざまなうわさが流れ、韓国人社会が鎮火に乗り出している。現地の韓人会はホームページで、「直接関係のない人々が、根拠のないうわさを広めて事実を歪曲(わいきょく)し、在留韓国人社会を不安にさせている。在留韓国人一人一人が、特定の人を非難したり、根拠もなく判断したりしないよう、注意してほしい」と訴えた。

 母子3人が自殺する前日の午後、次女が自身のミニホームページに載せた文章には、周囲の無関心に対する恨みが込められていた。「好きだ、愛してる、考えている、大切だ、そんな言葉は全部飾りだった。必要なときにだけやって来て、用がなくなると目も合わせない人たち…」「この世の中で、人間が一番怖い」

 さらに、翌日の自殺を予告する文章もあった。「怖い。それでも、ついて行くことにした。すごく怖い。誰が最初にわたしたちのところに来てくれるのだろう」(5月4日午後5時48分)

 5日に現地の在外公館関係者から家族の死を告げられたペクさんは、大きなショックを受けていたという。妻と二人の娘の悲報を最初にペクさんに伝えたのは、駐ニュージーランド韓国大使館のウ・ソクトン領事だった。ウ領事は、「受話器の向こう側のペクさんは、天地が崩れ落ちたかのごとく大きな絶望感を感じているようだった。自分も死ぬ覚悟で、ニュージーランドにやって来たようだ」と語った。

 今月7日、一人きりでクライストチャーチの家に到着したペクさんは、「家族に先立たれ、これからわたし一人でどう生きていけばいいのか」と話していたという。1日遅れで現地に到着した家族が、「いずれ死ぬとしても、家族の葬儀は済ませなければいけないのではないか」と励ましたが、無駄だった。妻と二人の娘の葬儀を執り行った9日、ペクさんは後を追うようにしてこの世を去った。場所こそ違うものの、先に家族が死を迎えた同じ車の中で、掃除機のホースを使って車内に排ガスを引き込むという、まさに同じ方法で自ら命を絶ったのだった。

チェ・ソンジン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

このページのトップに戻る