【社説】韓国軍の縁故主義を清算できるか
哨戒艦「天安」の沈没事故を契機として、国家の安全保障の実態を調査するため、大統領直属の組織「国家安保総括点検会議」(以下、点検会議)が創設された。李相禹(イ・サンウ)国防先進化推進委員長(元翰林大総長)をはじめ、民間人5人と予備役将官10人の計15人からなる組織で、2-3カ月にわたり活動した後、大統領に報告書を提出する。
大統領府(青瓦台)は、点検会議が行うべき任務として、▲外部の脅威評価と、危機に対する安全保障能力の検討▲国防改革対策の樹立▲情報能力の検討および対策の樹立▲韓米同盟および北東アジア関係の点検▲韓国国民の安保意識の引き上げ-を挙げた。活動期間は最長で3カ月、という組織の目標にしては極めて広範囲、というのが第一印象だ。点検会議発足のきっかけや、与えられた活動の期限などを考慮すると、目標を「北朝鮮の侵入・挑発を防止するための国防対策樹立」に単純化・明確化すべきだろう。
政府の委員会が、巨額の税金を投じつつも、空疎な報告書を提出するだけで終わってしまうケースは、たびたびあった。点検会議がこうした前例を繰り返さないためには、政府が「点検会議の結論を単に参考にするだけでなく、実際の政策として執行する」ことを明確にしなければならない。それでこそ、委員たちもそれぞれの任務にふさわしい責任感を持って、それに見合う権限を行使することができる。
点検会議は、各軍の第一線の将兵から参謀総長まで、必要ならば国軍統帥権者に至るまで直接面談し、韓国の国防における問題点を細かく調査する方針だ。天安事故について、第一線の将兵から各級指揮官に至るまで、作戦の段階別に守るべき規則に従い行動したのか。その規則は現実的で、適用できるものなのか。規則が守られていなかったとすれば、その原因は何なのか。こうした点を再確認する必要がある。
点検会議は、天安事故で3軍合同の作戦が時機を失し、有機的に行われなかった原因についても把握しなければならない。その原因が、陸軍が中心となった合同参謀本部の構成によるものなのか、それとも別の理由があるのか、綿密に調査し、対策を打ち出さなければならない。韓国軍がこれまで同様、縁故主義の壁を越えられないのであれば、現在の3軍別々の士官学校体制から単一の「国軍士官学校」体制に転換し、将校養成課程から各軍の統合を目指す、という幅広い発想を試みる必要もある。
点検会議は、現在の「金正日(キム・ジョンイル)総書記の北朝鮮軍部」に対処する短期的な安保対策と、統一後まで適用できる長期的な安保対策を調和させ、予算など諸条件の限度内で最大の結果を引き出さなければならない。大統領もまた、点検会議の事実上の議長だという認識を持ち、時として起こり得る外部からの干渉や圧力に委員らが強固な姿勢で立ち向かえるよう、「屏風(びょうぶ)」の役割を果たすことが求められる。
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