中国軍部の強硬派が語る戦略的「本音」―日米同盟を解消させ西太平洋の制覇を目指す
2010/04/27/Tue
■日本列島を影響下に収める力を獲得した中国軍
「中国海軍が活動範囲の東方拡大を進めつつある」と警鐘を鳴らすのが日経新聞だ。四月二十二日配信の記事で、「今月上旬から駆逐艦や潜水艦など計10隻による大規模な遠洋訓練を東シナ海と太平洋で開始」としたことを取り上げ、こう強調する。
―――日本列島から沖縄、台湾をつなぐ「第1列島線」と呼ぶ防衛ライン内での影響力確保にメドを付けた可能性がある。
―――中国海軍は長距離の洋上進出能力を高め、沿岸・近海から太平洋など外洋に活動範囲を広げている。台湾の淡江大学の王高成教授は今回の訓練を「第1列島線を越える防御能力を持つことを証明した」と分析する。
―――中国はこれまで第1列島線の内側の海域の防衛を主任務としてきた。今後は日本列島からサイパン、グアムをつないでインドネシアに続く「第2列島線」をにらんだ遠洋展開を活発にする可能性がある。
日経新聞より
簡単に言えば中国は、海軍力の拡大により、これまで米軍の勢力下で中国の海洋進出を封じてきた第一列島線を、逆に自らの影響下に収めるほど能力を向上させ、今や第二列島線に至る西太平洋海域に勢力を伸張しつつあると言うことだ。
■台湾は「無血開城」して中国の「不沈空母」となるか
これは日本列島が中国の内海に浮かぶ列島となると言う悪夢が、いよいよ現実のものとなる可能性が高まっていることを物語っている。
こうしたなか、要となるのが台湾である。日本の命運は、この第一列島線上の要衝が日米同盟の対中封鎖拠点であり続けるか、それとも中国の前進基地となるかに掛かっているのだが、すでに中国は軍事力で台湾への「影響力確保にメドを付けた可能性がある」とするのが日経の分析なのだ。
しかもさらに憂慮すべきは、この台湾国内での動きである。在台中国人勢力が主導する国民党政権は、もはや中国への抵抗を放棄しつつあるかに見える情勢だ。このまま推移すれば自ら「無血開城」を行い、島は中国の「不沈空母」と化するかも知れない。
中国側はこの点に関し、すでに自信を深めているかに見える。
■軍強硬派の代弁者が米高官の前で自信表明
北京の清華大学では四月十八日から二十四日まで、米国の国防総省、航空宇宙局、商務省、食品医薬品局などの高官十七名を招き、中国の国情に関するレクチャーが行われたが、二十二日の軍事に関する講座で講師を務めたのが、国防大学戦略研究所の楊毅所長(海軍少将)である。
清華大学で中国国情に関する講義を受ける米国の高官たち
楊毅氏とは軍部の理論家として知られ、軍強硬派のスポークスマン的な役割を演じてきた人物だ。最近も台湾への武器売却問題を巡り、対米強硬発言を繰り返したことで内外の注目を集めた。
その楊毅氏がここにおいて、いかなるメッセージ(軍強硬派の本音)を米側に発したかは注目に値しよう。
台湾側の「無血開城」への自信も充分にのぞかせていた。
■反国家分裂法は台湾独立派への「死刑宣告」
楊毅海軍少将。強硬発言が目立つのは軍強硬派の本
音を代弁しているからだ
聴講者側から「米国は台湾問題の平和的解決を望んでいる。我が国は台湾の指導者をコントロールできないため、この問題には不確定性がある。しかし大きく眺めれば中米間で最も困難な問題とはならないと思うが、あなたの考えは」と質問された楊毅氏は強硬な態度で、次のように答えている。
―――中国は反国家分裂法を制定したが、これは台湾独立への死刑宣告に等しかった。
―――〇六年以降、両岸(※台湾と中国)関係は平和発展の段階に入った。とくに経済貿易の面での繋がりは緊密だ。我々の軍事力は台湾独立勢力が冒険に出たときに使用する最後の手段にしか過ぎない。
これは台湾への武力侵攻を「合法化」する反国家分裂法が〇五年に制定された以降の台中関係を語ったものでもある。
つまり中国は同法の制定で「台湾独立勢力」(中国側は中国との統一に強く反対する台湾人をこう呼ぶ)を恫喝した後、反台独の国民党を籠絡、操縦し、今日の台中関係の「改善」に至ったとの経緯を自信満々に説明しているのである。
■「米国は自分のことだけをやっていろ」と恫喝
しかし中国側にとっての問題は、米国がなお台湾の国防に手を貸していることだ。そこで楊毅氏は次のように訴える。
―――私は建議したい。両岸問題に関し、米国はいかなる関わるも持つ必要はなく、ただ自分のことだけをやっていれば、それでいいと。
―――米国はイラク、アフガン問題を抱えているはずだ。台湾問題で力を浪費することはあるまい。
―――これまで中国は米国の対台湾武器売却に耐えてきたのに、なぜ最近になって強烈な反応を見せるようになったのかと訝る米国人もいるが、これは今の中米関係が各種の挑戦に対処するためのグローバルパートナーの関係へと変わりつつあるからだ。もし一方に誠意がなければ、もう一方はどのような反応を示すかを考えるべきだ。
これは「米国には現在、台湾問題にまで手を出すゆとりがないはずだ」「イラク問題等の解決で中国側の協力を得たければ、台湾問題から手を引け」との戦略的メッセージだ。まるで米国への恫喝である。
■台湾の武器も基地もやがて中国のものになる
話の内容の深刻化を受けて聴講者側は、「台湾問題についてはあまり語りたくない」として話題を変えようとしたのだが、楊毅氏は「最後まで話させてくれ」と言って遮り、なおもこう続けた。
―――単純に武器装備の面から述べよう。米国が台湾へ武器を売却しても、我々の祖国統一の大業を阻止することはできない。
―――武器を売却しても、それは遅かれ早かれ我々のものとなる。なぜなら台湾はやがて中国に回帰するからだ。
この発言によって台湾では民進党議員が、「米国はF16C/D戦闘機の台湾への売却を望んでいたが、中国統一を目指す馬英九政権が発足したため、それが中国の手に落ちることを恐れている」とし、中国に傾斜を強める国民党政権を痛罵した。
米国が決定している売却武器のリストには、台湾側が強く希望するF16C/Dが外されている。その理由に関しては一般に、「米国の中国の反撥への配慮」と報じられてきたが、台湾では軍事機密が国民党政権を通じて中国に漏洩することを、米国が恐れた結果だとの見方が強い。
F16C/Dの台湾への売却が見送られたのはなぜか
いずれにせよ台湾が中国の併呑を受ければ、その武器も基地もすべてが日米同盟に矛先を向けることとなるだろう。
しかし台湾自らが中国との統一に踏み出せば、「台湾の指導者をコントロールできない」米国には手も足も出すことができなくなる。
■米国に対抗する意志と能力示した中国艦隊の訓練
さて楊毅氏だが、「解放軍は何を中国にとって最大の脅威と考えるか」との質問を受け、「それは米国だ」と即答している。そして「これは笑い話のようで笑い話ではない」と前置きしながら、次のように述べた。
―――米国は中国の国家安全利益を全面的に脅かすことのできる唯一の国だ。日本にはそのような能力はない。ロシアは能力はあるが動機がない。インドは中国に対しさらに多くの憂慮を抱いている。
―――我々は対米関係の発展と安定を希望している。しかし脅威と圧力を受ければ、準備をしなければならない。
―――ただ幸いなことに、台湾問題で緩和が見られるため、中米が対抗する危険性は低くなってきている。
米国が台湾防衛を継続し、中国に「脅威」を及ぼし、「圧力」を加えるなら、戦争の「準備」を行うと強調する中国。実際に今回の西太平洋での遠洋訓練は、対抗の意志と能力を米側に示すものだった。
■台湾問題から手を引けー中国は米国と太平洋を分割したい
楊毅氏の発言は明らかに、「台湾から手を引け。そうすれば我々も米国との平和を発展させることだろう」と言う中国側の戦略的なメッセージである。
しかし台湾防衛を放棄せよとの米国への訴えは、西太平洋までは中国の「内海」として認めよと言っているに等しい。それはまた同時に、日米同盟の解消要求とも受け取らざるを得ない。
将来米軍は東アジア、西太平洋から撤退する可能性はあるだろうか。米軍将兵が血を流すより、あるいは米本土が中国の核ミサイル攻撃を受けるより、中国と太平洋を分割する方が得策だと判断すれば、それは決してあり得ないことではないのである。
中国軍は米軍に対し太平洋分割を提案したこともある
そしてそうした判断が下されるとしたら、それは日本を防衛する価値はなしと看做したときだと考えられる。
■中国の属国となるかー米国には日本放棄の選択肢がある
クリントン政権で国務副長官を務めたストローブ・タルボット氏は二十六日、鳩山由紀夫首相と会談し、普天間基地移設問題が日米同盟に悪影響を及ぼすことに懸念を表明するとともに、その後の都内での講演でも「日本が沖縄米軍の軍事的プレゼンスを薄めるような行動を取るなら、同盟関係全体が崩壊に直面する可能性がある」と警鐘を打ち鳴らしている。
日米同盟存続の危機を鳩山首相に伝えたストローブ・タルボット元国務副長官
要するに、米国には日本の国防に協力しないとの選択肢があると言うことだ。
楊毅氏が日本には中国を脅かすほどの「能力はない」と述べた背景には、米軍とともに第一列島線を守り抜く決意の欠如がある。
日本人は日本が中国の勢力下で、その属国に成り下がることを受け容れることができるだろうか。
もはや普天間問題で迷走している場合ではないと言う事態に、一刻も早く気が付かなければならないはずだ。
【過去の関連記事】
中国艦隊通過の目的を民主党政権は知らないかー恐るべき制海権奪取の戦略 4/14
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-1128.html
主従関係思わせた胡錦濤と鳩山由紀夫―核安全保障サミットで 4/16
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-1133.html
中国艦隊通過と日中首脳会談の連関性―露呈した民主党の傀儡体質 4/16
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-1134.html
中国艦隊が沖ノ鳥島海域へー目指すは制海権掌握とアジア君臨 4/21
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-1141.html
日本が対中強硬姿勢へー英BBCが報じる政府・メディアの変化と鳩山首相の媚中 4/25
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-1144.html
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中国艦隊が日本を威嚇!日本の対応を考える緊急講演会
(台湾研究フォーラム 第134回定例会)
■ 講 師 川村純彦氏(元海将補、川村純彦研究所代表)
■ 演 題 中国の軍事力拡大と我が国の対応
先ごろ、中国の東海艦隊が日本近海で大規模訓練を行うなど示威行為に出た。政府、メディアはこれに危機感を露にしたが、いまだ国内はこの脅威の実態を充分に把握できずにいる。そこでこの方面での研究第一人者である川村元海将補をお招きし、あの国の拡張志向と海洋進出の必然性と最近の軍事動向の解説、中国海軍の能力分析、そして自衛隊への対応能力の現状説明を行っていただき、あわせて我が国がとるべき方策を提言していただく。奮って参加を!
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【講師略歴】
昭和11年、鹿児島市生まれ。同35年防衛大学校卒業、海上自衛隊入隊。対潜哨戒機パイロット、在米日本大使館防衛駐在官、第5航空群司令(那覇)、第4航空群司令(厚木)、統幕学校副校長などを経て平成3年に退官。現在、川村純彦研究所代表、岡崎研究所副理事長、日本李登輝友の会理事(千葉県支部長)。
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【日 時】 平成22年5月16日(日)午後6時〜8時
【場 所】 文京区民センター2-A会議室
JR「水道橋駅」徒歩10分、都営三田線・大江戸線「春日駅」徒歩1分
東京メトロ丸の内線・南北線「後楽園駅」徒歩1分
【参加費】 会員500円、一般1,000円
【懇親会】 終了後、会場付近にて。(会費3,000円、学生1,000円)
【申込み】 5月15日まで右記へ。E-mail:taiwan_kenkyu_forum@yahoo.co.jp
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■会員募集中―台湾は日本の生命線です。台湾建国、日台共栄の運動にぜひ参与を。
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4.28 頑張れ日本!救国国民行動 in 四谷・御茶ノ水
外国人地方参政権絶対阻止!選択的夫婦別姓絶対阻止!
期日:
平成22年4月28日(水)※雨天決行!
内容:
14時00分 四谷駅前付近にて街頭演説
(藤井厳喜・三輪和雄・松浦芳子・水島 総 他 地方議員等予定)
終了後、御茶ノ水へ
15時30分 御茶ノ水駅付近にて街頭演説
(藤井厳喜・三輪和雄・水島 総 他 地方議員等予定)
16時30分 九段会館までアピール歩行
「主権回復記念日国民集会」(九段会館)に参加
主催:
頑張れ日本!全国行動委員会
草莽全国地方議員の会
日本文化チャンネル桜ニ千人委員会有志の会ほか
ご連絡先:
草莽全国地方議員の会
TEL/FAX03-3311-7810
日本文化チャンネル桜二千人委員会有志の会
TEL03-6419-3900
目覚めよ!立ち上がれ!アジアの民よ!
上海万博 粉砕! 国民大集会 《平成の興亜会議》
上海万博開会式当日に愛国者は国旗を持って大集合!
中国の圧政・軍拡・周辺国への侵略に抗議!
日 時:平成22年5月1日(土)午後1時30分〜4時00分
会 場:豊島公会堂(みらい座池袋)池袋東口徒歩5分 ビックカメラ裏
【開会挨拶】 殿岡昭郎先生
【基調講演】 加瀬英明実行委員長
【シンポジウム】
台湾・チベット・東トルキスタン・南モンゴル・南ベトナム周辺国の代表も登壇!
【閉会の辞】 鈴木信行新風幹事長
台湾・チベット・東トルキスタン・南モンゴル・南ベトナムなど周辺国の代表も登壇!
参加費:無料(カンパ箱あり)
主 催:平成の興亜会議実行委員会
委員長:加瀬英明(外交評論家)
事務局長:村田春樹(090-7055-2500 )
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「中国海軍が活動範囲の東方拡大を進めつつある」と警鐘を鳴らすのが日経新聞だ。四月二十二日配信の記事で、「今月上旬から駆逐艦や潜水艦など計10隻による大規模な遠洋訓練を東シナ海と太平洋で開始」としたことを取り上げ、こう強調する。
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―――中国はこれまで第1列島線の内側の海域の防衛を主任務としてきた。今後は日本列島からサイパン、グアムをつないでインドネシアに続く「第2列島線」をにらんだ遠洋展開を活発にする可能性がある。
日経新聞より
簡単に言えば中国は、海軍力の拡大により、これまで米軍の勢力下で中国の海洋進出を封じてきた第一列島線を、逆に自らの影響下に収めるほど能力を向上させ、今や第二列島線に至る西太平洋海域に勢力を伸張しつつあると言うことだ。
■台湾は「無血開城」して中国の「不沈空母」となるか
これは日本列島が中国の内海に浮かぶ列島となると言う悪夢が、いよいよ現実のものとなる可能性が高まっていることを物語っている。
こうしたなか、要となるのが台湾である。日本の命運は、この第一列島線上の要衝が日米同盟の対中封鎖拠点であり続けるか、それとも中国の前進基地となるかに掛かっているのだが、すでに中国は軍事力で台湾への「影響力確保にメドを付けた可能性がある」とするのが日経の分析なのだ。
しかもさらに憂慮すべきは、この台湾国内での動きである。在台中国人勢力が主導する国民党政権は、もはや中国への抵抗を放棄しつつあるかに見える情勢だ。このまま推移すれば自ら「無血開城」を行い、島は中国の「不沈空母」と化するかも知れない。
中国側はこの点に関し、すでに自信を深めているかに見える。
■軍強硬派の代弁者が米高官の前で自信表明
北京の清華大学では四月十八日から二十四日まで、米国の国防総省、航空宇宙局、商務省、食品医薬品局などの高官十七名を招き、中国の国情に関するレクチャーが行われたが、二十二日の軍事に関する講座で講師を務めたのが、国防大学戦略研究所の楊毅所長(海軍少将)である。
清華大学で中国国情に関する講義を受ける米国の高官たち
楊毅氏とは軍部の理論家として知られ、軍強硬派のスポークスマン的な役割を演じてきた人物だ。最近も台湾への武器売却問題を巡り、対米強硬発言を繰り返したことで内外の注目を集めた。
その楊毅氏がここにおいて、いかなるメッセージ(軍強硬派の本音)を米側に発したかは注目に値しよう。
台湾側の「無血開城」への自信も充分にのぞかせていた。
■反国家分裂法は台湾独立派への「死刑宣告」
楊毅海軍少将。強硬発言が目立つのは軍強硬派の本
音を代弁しているからだ
聴講者側から「米国は台湾問題の平和的解決を望んでいる。我が国は台湾の指導者をコントロールできないため、この問題には不確定性がある。しかし大きく眺めれば中米間で最も困難な問題とはならないと思うが、あなたの考えは」と質問された楊毅氏は強硬な態度で、次のように答えている。
―――中国は反国家分裂法を制定したが、これは台湾独立への死刑宣告に等しかった。
―――〇六年以降、両岸(※台湾と中国)関係は平和発展の段階に入った。とくに経済貿易の面での繋がりは緊密だ。我々の軍事力は台湾独立勢力が冒険に出たときに使用する最後の手段にしか過ぎない。
これは台湾への武力侵攻を「合法化」する反国家分裂法が〇五年に制定された以降の台中関係を語ったものでもある。
つまり中国は同法の制定で「台湾独立勢力」(中国側は中国との統一に強く反対する台湾人をこう呼ぶ)を恫喝した後、反台独の国民党を籠絡、操縦し、今日の台中関係の「改善」に至ったとの経緯を自信満々に説明しているのである。
■「米国は自分のことだけをやっていろ」と恫喝
しかし中国側にとっての問題は、米国がなお台湾の国防に手を貸していることだ。そこで楊毅氏は次のように訴える。
―――私は建議したい。両岸問題に関し、米国はいかなる関わるも持つ必要はなく、ただ自分のことだけをやっていれば、それでいいと。
―――米国はイラク、アフガン問題を抱えているはずだ。台湾問題で力を浪費することはあるまい。
―――これまで中国は米国の対台湾武器売却に耐えてきたのに、なぜ最近になって強烈な反応を見せるようになったのかと訝る米国人もいるが、これは今の中米関係が各種の挑戦に対処するためのグローバルパートナーの関係へと変わりつつあるからだ。もし一方に誠意がなければ、もう一方はどのような反応を示すかを考えるべきだ。
これは「米国には現在、台湾問題にまで手を出すゆとりがないはずだ」「イラク問題等の解決で中国側の協力を得たければ、台湾問題から手を引け」との戦略的メッセージだ。まるで米国への恫喝である。
■台湾の武器も基地もやがて中国のものになる
話の内容の深刻化を受けて聴講者側は、「台湾問題についてはあまり語りたくない」として話題を変えようとしたのだが、楊毅氏は「最後まで話させてくれ」と言って遮り、なおもこう続けた。
―――単純に武器装備の面から述べよう。米国が台湾へ武器を売却しても、我々の祖国統一の大業を阻止することはできない。
―――武器を売却しても、それは遅かれ早かれ我々のものとなる。なぜなら台湾はやがて中国に回帰するからだ。
この発言によって台湾では民進党議員が、「米国はF16C/D戦闘機の台湾への売却を望んでいたが、中国統一を目指す馬英九政権が発足したため、それが中国の手に落ちることを恐れている」とし、中国に傾斜を強める国民党政権を痛罵した。
米国が決定している売却武器のリストには、台湾側が強く希望するF16C/Dが外されている。その理由に関しては一般に、「米国の中国の反撥への配慮」と報じられてきたが、台湾では軍事機密が国民党政権を通じて中国に漏洩することを、米国が恐れた結果だとの見方が強い。
F16C/Dの台湾への売却が見送られたのはなぜか
いずれにせよ台湾が中国の併呑を受ければ、その武器も基地もすべてが日米同盟に矛先を向けることとなるだろう。
しかし台湾自らが中国との統一に踏み出せば、「台湾の指導者をコントロールできない」米国には手も足も出すことができなくなる。
■米国に対抗する意志と能力示した中国艦隊の訓練
さて楊毅氏だが、「解放軍は何を中国にとって最大の脅威と考えるか」との質問を受け、「それは米国だ」と即答している。そして「これは笑い話のようで笑い話ではない」と前置きしながら、次のように述べた。
―――米国は中国の国家安全利益を全面的に脅かすことのできる唯一の国だ。日本にはそのような能力はない。ロシアは能力はあるが動機がない。インドは中国に対しさらに多くの憂慮を抱いている。
―――我々は対米関係の発展と安定を希望している。しかし脅威と圧力を受ければ、準備をしなければならない。
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米国が台湾防衛を継続し、中国に「脅威」を及ぼし、「圧力」を加えるなら、戦争の「準備」を行うと強調する中国。実際に今回の西太平洋での遠洋訓練は、対抗の意志と能力を米側に示すものだった。
■台湾問題から手を引けー中国は米国と太平洋を分割したい
楊毅氏の発言は明らかに、「台湾から手を引け。そうすれば我々も米国との平和を発展させることだろう」と言う中国側の戦略的なメッセージである。
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将来米軍は東アジア、西太平洋から撤退する可能性はあるだろうか。米軍将兵が血を流すより、あるいは米本土が中国の核ミサイル攻撃を受けるより、中国と太平洋を分割する方が得策だと判断すれば、それは決してあり得ないことではないのである。
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クリントン政権で国務副長官を務めたストローブ・タルボット氏は二十六日、鳩山由紀夫首相と会談し、普天間基地移設問題が日米同盟に悪影響を及ぼすことに懸念を表明するとともに、その後の都内での講演でも「日本が沖縄米軍の軍事的プレゼンスを薄めるような行動を取るなら、同盟関係全体が崩壊に直面する可能性がある」と警鐘を打ち鳴らしている。
日米同盟存続の危機を鳩山首相に伝えたストローブ・タルボット元国務副長官
要するに、米国には日本の国防に協力しないとの選択肢があると言うことだ。
楊毅氏が日本には中国を脅かすほどの「能力はない」と述べた背景には、米軍とともに第一列島線を守り抜く決意の欠如がある。
日本人は日本が中国の勢力下で、その属国に成り下がることを受け容れることができるだろうか。
もはや普天間問題で迷走している場合ではないと言う事態に、一刻も早く気が付かなければならないはずだ。
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中国艦隊が沖ノ鳥島海域へー目指すは制海権掌握とアジア君臨 4/21
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先ごろ、中国の東海艦隊が日本近海で大規模訓練を行うなど示威行為に出た。政府、メディアはこれに危機感を露にしたが、いまだ国内はこの脅威の実態を充分に把握できずにいる。そこでこの方面での研究第一人者である川村元海将補をお招きし、あの国の拡張志向と海洋進出の必然性と最近の軍事動向の解説、中国海軍の能力分析、そして自衛隊への対応能力の現状説明を行っていただき、あわせて我が国がとるべき方策を提言していただく。奮って参加を!
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【講師略歴】
昭和11年、鹿児島市生まれ。同35年防衛大学校卒業、海上自衛隊入隊。対潜哨戒機パイロット、在米日本大使館防衛駐在官、第5航空群司令(那覇)、第4航空群司令(厚木)、統幕学校副校長などを経て平成3年に退官。現在、川村純彦研究所代表、岡崎研究所副理事長、日本李登輝友の会理事(千葉県支部長)。
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【日 時】 平成22年5月16日(日)午後6時〜8時
【場 所】 文京区民センター2-A会議室
JR「水道橋駅」徒歩10分、都営三田線・大江戸線「春日駅」徒歩1分
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14時00分 四谷駅前付近にて街頭演説
(藤井厳喜・三輪和雄・松浦芳子・水島 総 他 地方議員等予定)
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15時30分 御茶ノ水駅付近にて街頭演説
(藤井厳喜・三輪和雄・水島 総 他 地方議員等予定)
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日本文化チャンネル桜ニ千人委員会有志の会ほか
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目覚めよ!立ち上がれ!アジアの民よ!
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