2010年5月11日(火)「しんぶん赤旗」

統一協会の集団結婚

日本人女性7000人 韓国に

農村部で困窮生活

研究者調査


 統一協会の「祝福」(集団結婚)で韓国人と結婚した在韓日本人女性が7000人いることが、中西尋子さん(大学非常勤講師)の調べで判明しました。貧困な農村部在住者が多く、困窮生活を強いられているといいます。櫻井義秀北大教授との共著『統一教会』(北海道大学出版会)で発表しました。


 10年近くの聞き取り調査をまとめたもの。統一協会は在韓日本人信者を「特別な使命を持った天の精鋭部隊」と位置づけ、その名目で「日本人女性信者に苦労の多い生活を強いている」といいます。

 背景に農村部の貧困と「嫁不足」があります。統一協会は農村部で、日本人女性と「理想の結婚、純潔な結婚」をしませんかと宣伝しており、中西さんは「妻は宗教的信念に基づく結婚だったとしても、夫は結婚目的で信者になっただけであり、信仰を共有しているわけでもない」と指摘。「主体者(夫のこと)は失業しているときが多い」「(夫に)障害があって、経済的に難しい。(自分が時々)日本に帰って働きに出ている」という証言を紹介しています。

 統一協会では、朝鮮侵略の歴史がある日本は「エバ国家」として奉仕の義務があり、霊感商法による金集めなどの贖罪(しょくざい、教団用語は「蕩減=とうげん」)が課せられているのに対し、韓国は「アダム国家」として奉仕される立場。日本人女性信者は「韓国での生活をやめることは逆に蕩減が重くなる」と信じさせられているといいます。

 このような「韓日祝福」は1988年の集団結婚から本格化。実態の一部は内部誌『本郷人』などにより日本に伝わり、全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)や被害者家族の会にも相談が寄せられていました。

 全国弁連の渡辺博弁護士は「統一協会自身が内部誌に載せざるを得ないほどの生活実態だから、実際はもっと悲惨ではないかと心配している」と語っています。


 祝福(集団結婚=合同結婚) 文鮮明教祖との血分け(セックス)を象徴するもので、救済のための最重要儀式。相対者(配偶者)は教祖の指名で決められ、参加者には祝福献金などが課せられます。韓国人男性と日本人女性の組み合わせが「韓日祝福」で、逆は「日韓祝福」。男性の在韓日本人信者は約300人。





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