V字回復 トヨタの底力 アナリスト「黒字転換前倒し」 (3/3ページ)

2010.5.11 05:00

トヨタの売上高と営業損益

トヨタの売上高と営業損益【拡大】

  • 会見するラフード米運輸長官(右)と豊田章男社長=10日、愛知県豊田市

 アナリスト予想によると、11年3月期も回復基調は続く。売上高は4.0%増、営業利益では12.3倍の5405億円に達する。

 ただ、プリウスの爆発的なヒットに伴い、ロングセラー「カローラ」の09年度販売が10万台割れとなるなど“プリウス依存症”は顕著だ。今後、HV車のラインアップ強化だけでなく、ハイブリッド技術の他社への供給拡大が必要だ。(鈴木正行)

                   

 ■円安で上乗せ

 岡三証券の岩元泰晶アナリスト トヨタは2009年度第4四半期(10年1~3月)で対ドルの前提為替レートを87円としたものの、実際は円安に振れたことが営業利益上乗せ要因となった。原価低減も計画より順調に推移したほか、販売台数の上乗せもあり、10年3月期の営業黒字を達成できた。

 しかし、主力の米国市場では、大規模リコール(回収・無償修理)問題をきっかけにブランドイメージを損なったことで、シェアの維持が困難となっている。3月、4月の米国販売の回復は(販売店への)奨励金の積み増しによる一時的なもので、実質的な回復には時間を要する。

 中国やインドなどの新興国では、商品の競争力をつけることが必要だ。トヨタは系列の部品メーカーと協力して、「RRCI」(良品廉価、コスト、イノベーションの略)に取り組み、3割の原価削減を目指している。新興国市場で中核となる小型車で、いかに1台当たりの利幅を確保するかが課題となる。

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