【口蹄疫】 宮崎県の養豚場からのメール報告(3)
宮崎県の畜産農家を襲っている口蹄疫の殺処分をめぐる難しい事情を伝えてくれるメール報告第三信が11日午後、届きました。前日と同じ養豚場の現場からです。以下はその全文です。(47NEWS)
9日の第一信はこちらをお読みください。
10日の第二信はこちらをお読みください。
【口蹄疫】殺処分という響きがやりきれない - 47トピックス はこちらです。
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みなさん、こんにちはこのメールを送るようになって3通目になりました。
口蹄疫発生44例目農場の者です。
5/11午前10:00、私どもの提示した埋設場所に重機が来て、掘削が始まりました。
口蹄疫発見時の、5/7をいれて5日目です。
私どもの農場近辺の養豚施設ではすでに口蹄疫に感染し、その埋設のための掘削作業をする重機の轟音がここ数日鳴り響いてます。
未だ、作られた原稿を読むだけの報道しかされない現状で私は、現場に居るまさに目の前で起こっている事をみなさまに伝えなくては
いけないのではないかと思う毎日であります。
5/11午前10:00、重機のオペレーター1名と掘削指示をする対策本部の方2名がこられ埋設場所で試掘から始まりました。
試掘とは?と思う方もいるでしょう、試掘とは埋設場所はあるけども、掘削していくうちに地下水などの水が湧き出てこないかと確認
するためのものです。
掘削幅6m 地表から深さ4mもの巨大な穴を掘るわけですから、水が出てくる可能性もあります、もしそうした場合はその場所には
埋設できないのです。
埋設場所があるけど、水が出てきて埋設できないといった畜産業の方々が多いのも事実です、昨日メールした内容にも書きましたが、
埋設場所が無い農場の家畜は、殺処分されず放置されている状態です。
試掘の結果、水の湧き出る様子もなく本格的に掘削可能と判断され今現在、掘削をしています。
その作業の間、掘削を指示する方と私の父が少し口論となりましたので、その内容を記したいと思います。
父は昔気質な人で、「遅い事は誰でも出来る」が口癖の人で仕事は手早くするの人でした。
私もそんな父に育てられ、父までとは言いませんが仕事は手早く正確にを心がけるようになりました。
ですが、掘削指示の方々は小走りに動きもせず歩きながら作業をするばかり、それを見た父は激怒し担当の方に言い寄った次第であります。
私も、怒りを覚えました。
一刻でも早く、埋設しなければ行けない状況で、本部からの人間はどこ吹く風と言わんばかりの仕事の仕方にです。
しかし、ここは大人の対応をと思い、怒りを抑え、父を抑え、担当に聞きました。
「あの、一つ聞きます。 現場はここだけではないですよね? この現場の指示などを早くすませて、他の現場の指示などをしたほうがいいでしょう?」と
そして帰ってきた答えは、、、、
「それは分かっています。ですけど他の農場などは埋設場所がないし、殺処分の日程も決まってないし、急いでも意味がないでしょう?」
驚愕です。
何も言葉が出ませんでした。
埋設場所がないから、ここの現場をゆっくりしても問題は無いでしょう?とこんな事ですよ現場は、自分の言われた事をそれだけやってればいい、
こんな状況になったら、普通は他に埋設場所になる候補地は無いのか?他にやることはないのか?と探すのが普通ではないでしょうか?
こんな考えで対策本部、または殺処分の現場が動いてるとしたらこれはもはや口蹄疫の感染を止める事は出来ないでしょう。
「今日中に、この農場は殺処分できなから今日はここまででいいかぁ」 などとやってるのでしょうか?
断じて、そのようなことは無いと信じたい、現場で頑張っておられる獣医師の方々や要請に応じてくれた自衛隊の方々、または民間企業よりきて下さってる
重機作業員の方々がどれだけ必死になって作業しているか私は感じております。
しかし、本部内部では対岸の火事または迷惑な話だという態度で仕事をしている人も少なからず居ると感じた瞬間でした。
埋設場所の問題で一言、言いたいことがある。
5/10、初めて農林水産省大臣が県に訪れ、宮崎市内のホテルにて生産者団体との会談が行われました。
その中で、埋設場所がなく、国有林を提供していただきたいとの意見が出た時に、大臣の返答が
「国有林に埋却したいと言うのでことなら県を通して上げてもらえばすぐ出来る」と、、、、おかしくは無いだろうか?
ここまで感染拡大をしていてる最中、大臣に直接、要望を出しているにもかかわらず、県を通さなければ出来ないと言う現実が
なぜ、そのばで大臣権限をもって国有林の提供にならないのか?
私には、人に自慢するほどの学力も学歴もありません、そんな私には到底わかり得ない複雑な手続きがいるのだよ、と言うのでしょうか?
ですが、そんな問題ではすまされない状況では無いのでしょうか?
私の常識が一般の方とずれているのでしょうか?
現場とそれを管轄する上との温度差はあまりにも激しいものがあると思います。
今日より、写真を添付させていただきたいと思います。
写真は今日より、掘削作業に入った現場の風景と、現在の父の経営する養豚場の風景です。
掘削風景の写真では、埋設する穴を見つめる父が写っております。
その背中はやはり、どこか寂しげです。
養豚場の風景は、口蹄疫の症状がでて、立てなくなった母豚に寄り添う子豚が移っております。
写真に写っている子豚は、発症はしていません、ですがこれも殺処分対象なのです。
そんな風景を毎日みながら殺処分を待つ気持ちを少しでもご理解いただけたらと思います。
なお、添付します写真についてはメールを送ったサイト様の判断で公開するかしないかはお任せいたします。
2010年05月11日 【47NEWS】