厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)

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help リーダーに追加 RSS さらにギリシャ

<<   作成日時 : 2010/02/16 18:23   >>

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この問題はまだまだいろいろな話が出てきて飽きさせてくれないのですが、金融界的には某投資銀行がいわゆる「通貨スワップ」のカウンターパーティーとなってギリシャが将来の宝くじ販売などから得られるキャッシュフローを一時金と交換して受け取れるようにしたというニュースが極めて興味深いものとなっています。
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20100215ATGM1502R15022010.html

スワップというとなんだか専門的に聞こえるのですが、要するにキャッシュフローの交換であれば全部スワップなのであって、極端な話一回限りの取引をスワップと呼んでも必ずしも間違いではないし、もっと言えば、贈与だって特定金額とゼロとの交換と構成すればスワップといえなくもない。鳩山さんもお母さんからの贈与なんていうと突っ込まれるから本当は愛情スワップとか言っちゃえばよかったのかも(ちょっと誤解を招きそうな表現ではありますが)。

冗談はさておき、将来の収益を一時金と交換するというのはもちろん、期待値を修正した割引後の原価において等価であれば成り立つ取引であり、それ自体はまったく不自然なものではないと思います。しかしながら、一般にそのようなニーズのある主体はなにかしら抱えている事がほぼ確実であり、会社で言えば「継続企業性」が疑われる主体である可能性が強いと感じます。

あくまで報道から見る限りにおいてですが、今回の取引を見て直感的に似ていると思ったのが、これです。
http://www.nikkeibp.co.jp/archives/051/51457.html
財務再保険というと聞こえはいいですが、将来の保険からあがってくる収益をすべて一時金で受け取ってしまうわけですから、もはや企業として継続してやっていく意思を失っているように思えるわけです。しかもこういうことをやる場合は必ず「足元を見られて」いる。実際ワタクシはこのリンクにある財務再保険を引き受けた会社のちょっと偉い方とNYで偶然この話題についてお話する機会があったのですが、彼はあけっぴろげに「いや、あれはいいディールだった」とおっしゃってました。

それはともかく、まさか短期間で商売をたたむ予定がありえない「国家」がこのような取引に手を染めることは通常考えづらいのですが、もしやっていたとしたら、どう考えても真っ当な目的とは思いづらいですね。おそらく多くの人々が推測するとおり、単年度の赤字を低く見せてユーロの財政赤字基準をクリアしようとしたものだろうと思われます。

まあ本件は2001年の話なのだそうで、今回の危機的状況との因果関係があるのかないのか、それはまったくわかりません。しかしながら、しかしこれはかなり印象が悪いです。そのようなことをして無理やり参加してくる国が結局ほかの国に救済されるとかいう事態になりますと、やはりほかの国の国民としては黙っているわけには行かないでしょう。ユーログループ議長(ルクセンブルグ首相)のユンカー氏が「ギリシャは、ほかの国民がギリシャの過ちにお金を払う用意がないことを理解すべきだ」と明確に発言しているのはそういうことでしょう。

もうひとつ非常に気がかりなのは、このカウンターパーティーである某投資銀行のこと。まあパワフルな会社ですからなんとかしのぐとは思いますが、正直この取引はちょっと筋が悪いと思います。先ほども述べたようにそもそもあまり真っ当でない目的の取引であることは割りと明白だからです。投資銀行側の意図がどうであれ、そして、こうした金融取引が今回の危機と因果関係があるのかないのかという点とは無関係に、こうした取引の当事者であること自体が、結局のところ何らかのコミットを強いられる他国の国民の怨嗟の的となりかねないからです。民間同士の取引ならそれは私的自治の原則でどうとでもなりますが、相手が国家というのもあまりよろしくないですね。ましてや、これがユーロの仕組み全体を揺るがす不正の片棒を担いだと認定されたら・・・・。まあたぶんそこまでは言われないのでしょうけれど、時代が時代だけにこういうニュースも思ったより出てくるのが早かったというのが印象です。

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ギリシャの債務隠しの方法とは
 「HowGoldmanSachsHelpedGreecetoMaskitsTrueDebt(SPIEGELONLINE)」 これで救済のために自分の税金をギリシャに使われようとしているドイツ人もキレて、ユーロ諸国も投資銀行つぶしに出るでしょうか。ギリシャがユーロ参加ルールのクリアのために行ったとされるGSとの... ...続きを見る
共有地の喜劇
2010/02/23 22:40

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
>>やはりほかの国の国民としては黙っているわけには行かないでしょう。
当然の反応でしょうねえ・・・
選挙リスクを考えれば、ドイツやフランスの首脳も救済には動けないのでは?
今日ユーロが反発しているのが不思議です。
40歳無職
2010/02/17 11:07
なのでこの投資銀行は世界戦略なのです。アメリカの国民経済をぶっ壊さそうが、戦争も起こします、はい、でもそれが投資銀行です。それを規制しないそろそろいけない。こいつらはウイルスと一緒で国籍ないよ、小浜。
ぶらっでーマンデー
2010/02/18 00:15
私は他の国(特に加盟国)の怨嗟も分かるのですが、他の国が同様の取引をやっていないという保証もないのかな〜なんて思いました。
GSのことですから、財政危機の政府に同じようなすキームで売り込んでいるのではないかと・・・

まさか我が国日本がやっているはずはないでしょうがw

なお「愛情スワップ」はコーヒー噴きました
348ts
2010/02/18 16:43
40歳無職さん、どうもです。ユーロの反発はショートカバーだろうと思います。さすがにここまでショート貯めたらねぇ。

ぶらっでーマンデーさんどうもです。国籍がないというよりは、容易にその国籍の殻をかぶるということでしょうね。

348tsさん、どうもです。実際他の国々や他の投資銀行のお話も出始めましたね。愛情スワップ、受けていただいてワタクシもうれしいです。
厭債害債
2010/02/19 01:15

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