留保利益に課税を「検討」とか。 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100217-00000133-jij-pol いや、しらっとこういう話が出てしまうあたり、これまで長い間資本主義経済(らしきもの)のなかにどっぷりつかってきた人間としてはどこの共産主義国のお話ですか?って感じですが、よく見たら共産党の幹部との話のなかで出てきたそうで、それをまた「検討する」とまじめに受け答えしてしまうあたりがもう・・・・。 日経新聞がこの辺きちんと突っ込みを入れてくれているのでちょっと安心しました。最大の問題は、税金はキャッシュアウトになりますが、内部留保はキャッシュとは限らないということでしょうね。キャッシュがない状態では、極端な例では、お金が借りられなければ税金倒産、ということもありえる。さらにそもそも論ですが、内部留保というのは儲かった年に税金をきちんと払った上での内部留保(無税で積み立てられるものには限度がある)なわけでして、大体において法人税と配当課税の間においても二重課税であるという議論がある中で、あなた、留保利益に税金かけるというのは、そういう二重課税性を正面から認めることになりはしませんか?ちなみにウィキペディアでも内部留保に税金をかけることは二重課税になり特殊な例を除き認められないと(キリッ)。 もちろん、同族会社や海外子会社などを利用した配当課税逃れと見られるようなケースでは、(そもそも配当課税が二重課税ではないかという議論をおいておくと)今でもペナルティーとして留保利益課税ということはありえます。海外子会社などを使って取引を迂回させて利益をそこに溜め込むのは、国際的にも移転課税の問題が生じますし、それはそれで対応が必要です。また形だけの同族会社を経由して利益を溜め込むのもまた個人の税逃れとしてありがちな話で、それはそれできちんとやるべきですが、そういうのはあくまで本来払うべき主体が法形式を利用して支払いを逃れているという問題であって、一般的な留保利益課税はきちんとした法形式でビジネスをやり税金も払っている主体に対し積極的に二重課税を仕掛けるという問題。これを一般化することはちょっと問題だと思いますよ。 ふと昔マルクス経済学(ワタクシたちのころはこれが主流だったのですよ・・・涙)で習った「剰余価値説」ってのを思い出します。労働力が等価交換だとしたらどこに資本家の収益源があるのかを考えた挙句結局「搾取」によって剰余価値を生み出しているという結論に達するわけなんですが、今回の留保利益課税で確保した財源を農家や子供にばら撒くあたり、こうした搾取によって得た剰余価値は人民のものであるってな発想が垣間見えますな。やはりこの政権(ていうか首相ですな)は資本主義とは非常に相性が悪いような気がしてなりません。 |
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誤解を招く企業の内部留保と言う言葉
最近のニュースでは、非正規労働者の雇用問題に関連して、企業の何兆円もの内部留保がやりだまにあげられることが多い。 ...続きを見る |
文理両道 2010/02/27 23:33 |
内 容 | ニックネーム/日時 |
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マルクス経済学の本を読んでみたくなりました。 |
投機家Y 2010/02/18 14:04 |
本当に異常な発想ですね。 |
348ts 2010/02/18 16:57 |
風見鳩ですな |
通行人 2010/02/18 17:28 |
情けないとしか言いようがないですが… |
みほのぶるぼん 2010/02/18 18:10 |
> 通行人さん |
(ま) 2010/02/18 23:43 |
投機家Yさん、コメントありがとうございます。昔は歴史ではなく現実でした。授業中に●マルがオルグに来たりとか。 |
厭債害債 2010/02/19 01:24 |
>税引き後利益から支払われる役員賞与は法人税と所得税の二重課税が普通に行われています。 |
受験生N 2010/02/20 11:26 |
受験生Nさん |
348ts 2010/02/20 19:01 |
受験生Nさんコメントありがとうございます。まあ鳩山首相の場合はある程度知っているはずだと思いますが、まさか・・・ですね。また348tsさんフォローありがとうございます。 |
厭債害債 2010/02/23 06:21 |
お金が足りない野党時代はボンクラでも大金持ちのポッポには存在価値が有りました。打出の小槌としての。そうして民主党の幹部で居続けられた彼もソロソロ役割終了でしょうか? |
Josh_Hash 2010/02/26 13:13 |
はじめまして、ブラックスワンの検索できました。 |
けろよん 2010/02/27 09:33 |
Josh_Hashさんコメントありがとうございます。個人的には鳩山さんには頑張ってほしいと思っているのですよ。アレぐらい空中浮遊していないと本来大胆な改革はできないかもしれない。じつは彼は学者なのできっと自分の結論を持っていないのではないか、と危惧しています。社会科学が真理ではなく相対的な価値観の対立だということを十分に理解していない点が問題かもしれないと思います。 |
厭債害債 2010/02/28 13:04 |
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