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患者塾:医療の疑問にやさしく答える 園医・校医の現場から/上 /福岡

 第129回患者塾が4月24日、福岡県水巻町で開かれた。テーマは「園医と校医に相談しよう」。子供たちの新学期がスタートしたのに当たり、園医と校医の役割について、医師や教育関係者が語り合った。

 ◆どんな存在?

 ◇学校保健のリーダー

 北九州市の29歳女性 かかりつけ医と校医、園医はどう違うのですか。

 津田さん 学校での子供たちの健康管理が校医の役割です。基本的な構成は内科、眼科、耳鼻科、歯科。感染症の予防にもかかわり、治療を受ける上で助言もします。学校保健のリーダーで、校長の良きアドバイザーです。かかりつけ医は患者に最も身近で、いろいろな相談を気軽にできる存在です。

 仲野さん 福岡県豊前市で小学校の校医を十数年間していますが、「私でいいのかな」と思いながら手伝っているのが正直なところです。市内の小児科や眼科、耳鼻科の医師はそれぞれ1人だけなので、外科医も校医をしています。すべてコントロールできず、現場の養護教諭らの判断で動いているのが現状です。ただ、どの病院に連絡しても、校医であろうがなかろうが同じような対応はできると信じています。

 津田さん 実際、校医に連絡があるのは、子供の健康診断の時と学校に出向いて環境衛生の確認をする時が主で、一人一人の子供について必ず相談があるわけではありません。かかりつけ医に相談する方が多いとは思います。

 小野村さん 学校側から見ると校医はどんな存在ですか。

 大吉さん 子供たちの健康管理はとても大切です。その健康を維持・増進の手助けをされているのが校医さんで、学校経営になくてはならない存在です。

 ◆事故時の対応

 ◇すぐに救急車を呼ぶ、判断の仕組み作りを

 大吉さん 数年前、総合的な学習の時間に薬品が子供の目に入る事故がありました。その場ですぐに洗浄し、学校近くの校医に連絡しました。すぐ診てもらい、洗浄後に総合病院を手配してくれました。「アルカリ性なので失明の恐れもあります」と言われましたが、視力も戻りその後、元気に学校に通うことができています。

 伊藤さん 今の話には驚きました。一般的には校医もかかりつけ医も電話だけで状態の十分な判断はできません。眼科や耳鼻科の救急に対応できる医療機関は少ないのですぐに校医に診てもらえたことは良かったと思います。子供が普段から外科や内科系の症状を抱えているのであれば、前もってどこまでで救急車を呼ぶかを決めておく必要があります。初めて何かが起こったのであれば、救急車を呼ぶべきです。救急隊員はどの病院にどんな救急担当医がいるかを把握しているからです。

 大吉さん 学校のすぐ近くに校医さんがいたので駆けつけました。救急車を呼ぶ時は、マニュアルに基づいて養護教諭の意見を聞いて判断しています。

 伊藤さん 事故や急な病気の重症度の判断を校医の仕事としてはいけませんし、各学校に任せるのも間違いです。救急車を呼ぶ時のもっと簡単な判断の仕組みを作っておくべきです。

 ◇記者の一言

 申し訳ないが、校医さんの存在を、子供の時も親になっても、あまり意識したことはない。保健室の先生は(変な意味じゃなくて)身近だったけれど。それより今、学校で気になる存在はカウンセラーだ。定期的に回ってくる学校や、事件や事故の時に派遣される。「心のケア」のためというが、僕は効用を疑っている。大きな衝撃を受けた子供が、いきなり来た見知らぬ大人に心を開くのだろうか。親が優しく抱きしめ、先生がしっかり包み込む方が効くだろう。だが悲しいかな今は、その大人の方にこそケアが必要な時代のようだ。【御手洗恭二】

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 ◇出席された方々

大吉健次さん=元北九州市立小学校長

藤川王哉さん=いまこが眼科(福岡県遠賀町)

瀬戸口雅裕さん=せとぐち耳鼻咽喉科(福岡県遠賀町)

伊藤重彦さん=北九州市立八幡病院副院長(外科)

仲野祐輔さん=八屋第一診療所院長(福岡県豊前市、外科)

津田文史朗さん=つだ小児科アレルギー科医院院長(福岡県水巻町)

平田敬治さん=福岡山王病院外科部長(福岡市)

 ◇司会

小野村健太郎さん=おのむら医院院長(福岡県芦屋町、内科・小児科)

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 ◇第130回患者塾--何科を受診したらいいですか

 背中の痛みが断続的に続く時、あなたは何科を受診しますか。

 例えば、整形外科を受診したとします。担当医は整形外科的に骨や筋肉をチェックしてくれるはずです。消化器科や外科を受診したら、膵臓(すいぞう)や胃腸などの病気の可能性を考えて診察や検査をしてくれるでしょう。呼吸器科を受診したら、肺癌(がん)や胸膜炎などが病気の候補にあがるはずです。心筋梗塞(こうそく)や狭心症(これは循環器の担当)でも背中が痛いことはあります。泌尿器科を受診したら(ほとんどいないかもしれませんが)腎臓の石や癌を頭に入れて検査をしてくれるはずです。

 ちょっと気が遠くなってきますね。背中が痛い時、これだけの病気が考えられて、たくさんの専門領域がかかわるとなると、患者はどうすればいいのか分からなくなって来ます。「何科を受診したらいいのか」、久しぶりの出張患者塾で正解を探ります。

      ◆      ◆

 5月15日(土)午後3~6時

 福岡県飯塚市飯塚14の66 イイヅカコスモスコモン・中ホール。問い合わせは飯塚病院ふれあいセンター0948・29・8892

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 ◇質問は事務局へ

〒807-0111 福岡県芦屋町白浜町2の10「おのむら医院」内

電話093・222・1234

FAX093・222・1235

〔福岡都市圏版〕

毎日新聞 2010年5月11日 地方版

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