企業戦略

  • はてなブックマークに登録
  • livedoor Clipに登録
  • Yahoo!ブックマークに登録
  • Buzzurlブックマークに登録
  • |  

吉野家三度目の正念場、屋台骨の牛丼が独り負け、子会社も軒並み苦戦(2) - 10/05/11 | 08:50


 理由は、一貫してこだわってきた米国産牛肉にある。BSE(牛海綿状脳症)による輸入禁止時も「牛丼の味を均質に保つため」(安部社長)、豪州産などに切り替えず牛丼販売の一時休止を選んだ。

 06年に輸入再開となったものの、日本政府は月齢20カ月以下のルールを導入。この影響で供給量はBSE発生前を大幅に下回っており、価格も高止まりが続く。

 一方、ライバルの転身は早かった。BSE発生時に米国産の使用を取りやめて販売継続した松屋は現在、米国と豪州産を使用。すき家は豪州とニュージーランド、メキシコ産を使っている。米国産牛肉と比べると、約3分の2まで原価を抑制できているという。価格競争力で吉野家は不利な状況にある。

 屋台骨の牛丼のみならず、グループ子会社も厳しい。BSE発生時の牛丼販売休止を教訓に、安部社長はM&A戦略へと舵を切った。“脱・一本足打法”を目指して事業多角化を進めたが、シナジーどころか重荷となっている。最たる例は、07年8月に「180円ラーメン」の運営会社を事業買収して設立したアール・ワン。一度も黒字化しないまま、09年6月に撤退を決めた。

「はなまる」を除き子会社は軒並み苦戦

 08年に子会社化したステーキチェーン「どん」も悩みのタネだ。昨年8月に13店舗でO−157による食中毒事故が発生し、客足がみるみる遠のいた。不採算店の減損も重なり、2度目の債務超過に転落している。

 持ち帰りすし店の「京樽」も回転ずしなどに客を奪われ、既存店が前年同月比約1割の減収が続く。唯一、健闘しているのが讃岐うどんの「はなまる」という苦しい状況にある。

 「過去の買収戦略は、大衆向けの外食ならよいという考えで対象範囲を広げすぎた」(吉野家ホールディングスの加藤建司専務)。業態がバラバラでは、グループ経営の力を発揮するのは難しい。

企業戦略一覧へ

ビジネス新着情報一覧へ


マーケット情報

© 2008 Thomson Reuters

日経平均株価
日経平均株価 日経平均株価 10436.28 -94.42
TOPIX TOPIX 934.15 -10.49
円/ドル 円/ドル 92.73  
NYダウ平均 10,785.14 404.71
【PR】
Trendy Books
会計HACKS! サッカーの見方は1日で変えられる 経済危機のルーツ ストーリーとしての競争戦略 「話し方」で人を動かす「超」心理術

東洋経済オンラインは、東京証券取引所・大阪証券取引所・名古屋証券取引所・ジャスダック証券取引所・野村総合研究所・ダウ・ジョーンズ・ジャパン(株)・トムソン・ロイター社によって提供される情報を用いて、センティリオン株式会社で作成および運営を行い、情報提供をしております。 日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。