もう投票日は明日だし、多くの人が期日前投票を済ませている今、何を言っても始まらないのだけれど、やっぱりこれだけは言っておきたい。悔いのない選択を。 一言で言うとそういうことである。ありきたりだが、我々は投票という行動で議員を選ぶ。議員は国会での議論と投票行動を通じて立法などを行い、それらが強制力を持って我々の生活に跳ね返ってくる。小泉内閣での後期高齢者医療費問題について、現実化するまでほとんどの人が気にも留めていなかったとおもうが、圧倒的多数の国会議員によって可決された法律に基づいているのだ。そしてそれに賛成票を投じた国会議員を我々は選んだ。その結果に従うのが民主主義のルールであって、本来は受け入れるのが選挙民としての正しい態度である。 制度上、国民の側から個別の国会議員を任期途中で辞めさせる方法はない。メディアをあおってさんざんくだらない揚げ足取りをしてやめさせた事例はいくつもあるが、これもまた本質にかかわらない空しい議論が多い。個別議員の能力や判断力や価値判断をベースに途中でやめさせる方法はないのだ、ということを肝に銘じておく必要がある。 個別議員の投票は一定の範囲で拘束(党議拘束など)される。二大政党とかいきまいている人々にとってみれば、個別議員が勝手な投票行動に出ることは許さないだろう。今回ある党が大勝したとして、その多くの新人議員たちにとって、国会議員という仕事はやりがいも見返りも大きい、手放したくない仕事となるだろう。除名などというリスクまで負って、自分の信念を貫く人はまあかなり少ないだろう。 今回の選挙結果が小泉政権からの流れを引き継いだ自民党への強烈な批判とするのなら、一方的な議員構成が全く同じリスクをはらむことを十分認識しなければならない。民主党での実力者がどういう人々なのか、結局そういう人々が剛腕でさまざまな形で自分の意志を通そうとするとき、もはや有権者にきちんとそれを止める手段が残されていないということはないのか?参議院は解散もないし、当面選挙もない。 ワタクシは決して特定の党を支持しているわけではない。現に今までの選挙で自民党などいれたこともない。ただ、そもそも二大政党制という文化のない中で、いきなり登場する巨大な単一権力集団が、経験のないまま暴走する危険を感じている。政策の生煮え感とかトップに立つ人間たちの価値観とか、すべてゆだねることに対する不安がきわめて強い。日本の将来を真剣に考えた場合、これまでの世論調査で示されている一方的な勝利パターンは極めて危険に映る。 選挙という仕組みは一人ひとりが自分の考えで投票する。分断された社会では一人一人の世の中を変えたいという思いが全く同じベクトルで本人の思う以上のパワーを発揮する。結果として「こんなはずじゃなかった」ということも起こりうる。ヒトラーだってきちんとした民主的選挙で選ばれた。その時の国民のベクトルが強烈にある方向に向かい過ぎているときは、別の重要な要素は見逃されやすい。ひとたび権力が暴走すると、止める手立ては少ない。 単独党が300を大きく超えるような議席をとってしまったら、それこそ何でもできる。小泉政権時代にそのパワーは人々が思い知ったはずだ。小泉時代に対する忸怩たる思いがあるのなら、バランスの大事さをすこし考えてみてはどうだろうか?重ねて言う。悔いのない選択を。 (追記)現在9時で選挙速報をやっているが、民主予想通り圧勝ですね。とりわけ小選挙区で破竹の勢い。比例区の当確の出方から比べると、その差はあまりにも極端であり、小泉選挙の時もそうだったけれど、小選挙区制度の破壊的な威力を改めて思い知らされますね。 |
<< 前記事(2009/08/28) | ブログのトップへ | 後記事(2009/08/31) >> |
タイトル (本文) | ブログ名/日時 |
---|
内 容 | ニックネーム/日時 |
---|---|
今回の選挙で自民党に入れない人は、 |
774 2009/08/29 11:18 |
「自民党にpunishを」とかいう言葉がよく聞こえてきますが、実際自民党がここまで落ちるほどの失策って一体何?と思います。要するにマスコミの作り上げる次は民主党にしようというムードにただ乗せられているだけであろうと。そしてそのムードだけで民主党に300の議席が与えられようとしている。前回の自民党の300議席はむしろマスコミではなく小泉というキャラクターがドライバーでしたが。 |
linate 2009/08/29 11:36 |
既に4年前に、キOガイ小鼠の意味不明解散で盲目的に |
ひこぼし 2009/08/29 11:56 |
一人ひとりのたった一票で、四年の任期ですからね。 |
なみすと 2009/08/29 16:56 |
774さんの言うところの、 |
39歳無職 2009/08/29 19:59 |
みなさん、どうもコメントありがとうございます。結局のところ、小泉首相の時に自民党を大勝させた思考と今回民主党を大勝させようとしている思考が全く同じものである、ということを言いたかったのです。以前にも書いたように、選挙で投票だけで世の中が変わる、自分が投票するだけで世の中が良くなると思っている安易な思想について、ワタクシは極めて不満をもちます。自分のことは棚に上げているのですが、正しい方向に変えようと投票したのなら、その結果に責任を持つべきだし、どうしても思うような方向に行かないと感じるなら、自ら投票以外の態度を示して行動すべきなのです。 |
厭債害債 2009/08/29 20:28 |
いつも大変示唆に富む内容を拝見させて頂いております。 |
ばてぃ 2009/08/30 16:54 |
ばてぃさん、コメントありがとうございます。バランスをとるというのもなかなか難しい行動ですね。ある意味若干自分の気持ちを曲げることもあるわけですから。有権者としての選択肢の少なさは全く同感ですが、だからこそそれぞれがきちんと理想を持ち、その視点で厳しく政治を監視し、コミットしていかなければならないと思うこの頃です。病床からとのことですが、なにとぞお大事に。 |
厭債害債 2009/08/30 21:26 |
4年前と同じ轍を踏もうとしている旨、同感です。 |
名無之直人 2009/08/30 23:23 |
前回の郵政選挙もそうでしたが、 |
39歳無職 2009/08/31 08:12 |
名無之直人さん、どうもです。個人的には日本には二大政党制は時期尚早だと思いますね。草の根が育っていないから、ぶれる、ぶれる。 |
厭債害債 2009/09/02 00:01 |
<< 前記事(2009/08/28) | ブログのトップへ | 後記事(2009/08/31) >> |