デフレ脱却議員連盟の要望案がちょっとでて多少円安になったようです。 http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK038136120100413 「 [東京 13日 ロイター] 民主党の有志議員による「デフレから脱却し景気回復を目指す議員連盟」は13日、参院選のマニフェスト(政権公約)策定に向けた要望案を取りまとめた。 同要望案では、貿易・金融に過度のゆがみが生じないよう、購買力平価を参考とし、1ドル=120円前後を目安に相場が適切な水準を保つよう努力することなどが盛り込まれた。これに対し、13日の会合において、出席した議員から為替レート部分の表記で修正を求める声が出たため、表現を弱めることを含め、最終的に執行部に一任することが決まった。 このほか、要望案は、デフレからの完全脱却に向け、金融政策と財政政策のあらゆる手段を一体的に駆使して「総合デフレ対策」に取り組むとしている。政策目的として「あらゆる金融政策と財政政策をデフレ脱却に向けて集中的に投入する」とされた。 具体策としては、1)デフレを完全に脱却するまで思い切った金融緩和を実行・継続する、2)金融政策の指針となる物価などの適正水準について、政府が数値目標(消費者物価指数の対前年比2%超など)を決定、それに基づいて日銀が政策手段を独自に選択して数値目標の達成に努める、3)貿易・金融に過度のゆがみが生じないよう、購買力平価を参考とし、1ドル=120円前後を目安に相場が適切な水準を保つよう努力する、4)米連邦準備理事会(FRB)の制度を参考に、金融政策の目標として「雇用の最大化(失業の最小化)」を明記し、国民生活の安定につなげる、5)経済の底上げ効果のある財政政策を実行し、企業の資金調達円滑化のための制度融資などを大胆に行う──ことをあげている。 デフレ脱却議連には、衆院を中心に民主党議員130人程度が参加している。」 購買力平価ペッグというのも決してありえないアイデアではないけれど、少なくとも世界中のどこも採用していないところを見るとまあ非現実的だということでしょうね。 為替レートの理論的水準を購買力平価でみる、という意味や、円高を何とか阻止するための介入は多少はやむをえないという意味と、為替レートを購買力平価付近に持っていくということとは根本的に違うことですが、その辺のことはどうも一部の民主党議員さんには理解してもらえてないようですね。まあそういう提案をしようと考えた段階でワタクシは自由貿易と資本取引原則自由を謳う国の政治家としては失格だと思っています。これができるのはまあアメリカと中国だけでしょうに。 第一、購買力平価といってもいろいろな種類があります。消費者物価ベース、卸売物価ベース、輸出物価ベース、輸入物価ベースなど。あとはICPなんてのもあります。 http://www.stat.go.jp/info/meetings/icp/pdf/hyo0.pdf どれをとるかは議論が分かれているし、当然のことながら世界の為替相場は全体として見れば流れには沿っていながらも、それぞれの基準値が大きくぶれている(たとえばCPIベースと輸入物価ベースだと120円台と60円台ぐらいの違いがありますね)。 いずれにしても120円台というのは、CPIベースとかICPベースとかに近く購買力平均でも相当円安の方であり、これをまともに政策として主張したら、アメリカや中国に対し宣戦布告しているうようなものだということに早く気が付いてほしいですね。戦争で勝てる自信でもあれば別ですけれど。 逆にこれまでの歴史は輸入物価ベースと輸出物価ベースの購買力平価(いずれもCPIベースよりはるかに円高水準)の間でであることが多く、しかも時のアメリカの政治状況によってかなりぶれがあります。かなり特徴的なのは、極端に円高方向にぶれたのが過去のアメリカの民主党政権時代であること。オバマ政権が輸出倍増政策とか言い出しているときに120円台目指すとか言い出すのは、相当気合入れて喧嘩する覚悟がおありなんでしょうなぁ。 確かにデフレ脱却のために何らかの行動を起こすべきという気持ちはわかるのですが、為替レートはあくまで結果であってそれを手段としてはならないというのが過去の教訓(近隣窮乏化政策で国際紛争が起きてきた)ではないでしょうか? 申し訳ないけれど、このことだけをとっても、日本の民主党の一部議員の政治的センスは相当低いと思わざるを得ません。 |
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いいのかな?
このところ、「それでいいのかな?」と思うことがいろいろありましたので。 ***♪そうだったらいいのかな♪ ...続きを見る |
歌は世につれ世は歌につれ・・・みたいな。 2010/04/15 21:17 |
民主党参院選ポスター 2010
こんなん作ってみました。2つをまとめたのもどぞ。いやきっかけは、東京駅近くで、こんなポスターを恥ずかしげもなく貼ってる民主党候補の事務所を見かけたからでしたとさ。鳩山と... ...続きを見る |
ある日ぼくがいた場所 2010/04/23 01:41 |
内 容 | ニックネーム/日時 |
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はじめまして。エントリの内容に完全に同意します。大規模介入を行った2003〜04年とは状況が全く違うことを彼らは分かっていません。それとも09年衆院選と同様に、国民に聞こえのいいことを言っておけば票が取れるとでも思っているのでしょうか?仮にそうだとすれば、尚更現状認識ができていないことになりますが。 |
nwonder 2010/04/13 23:57 |
人民元が切り上げられたらドルに下押し圧力がかかるので、このタイミングで投機筋に牽制球を投げておくのは適切だという気もします。 |
1 2010/04/14 03:43 |
nwonderさんコメントありがとうございます。基本的にデフレと円高のどちらが原因でどちらが結果かは議論のあるところだと思うのですが、そうした議論がちゃんとなされているのか、と疑いますね。 |
厭債害債 2010/04/14 06:26 |
民主党の議員さん達の気持ちも分からないでもないですけどねえ・・・ |
40歳無職 2010/04/14 09:41 |
大規模介入が実施された当時と現在は為替にとってどのように状況が違うのでしょうか。素人としては、表立って政治が為替に介入するのは愚行と考えています。今回の民主党の提案は評価できませんが、それ以上に当時の介入は犯罪的であるとさえ思っているのですが。 |
傍観者 2010/04/14 21:32 |
こんばんわ。いつも大変参考にさせていただいてます。 |
CCA 2010/04/14 22:50 |
ご無沙汰してます。 |
a-kun 2010/04/15 00:50 |
120円は勝間和代さんの入れ知恵じゃないでしょうか。昨年、下記のようなプレゼンを民主党議員にしていたようですし |
saitotak 2010/04/15 07:38 |
与党議員が個人の発言ではなく議員連盟としてこんなことをいっているのかと思うと、唖然ですね。 |
348ts 2010/04/15 14:57 |
与党議員が個人の発言ではなく議員連盟としてこんなことをいっているのかと思うと、唖然ですね。 |
鏡の国の通行人 2010/04/16 21:56 |
40歳無職さん、どうもです。まあ気にしてませんけど、ちょっといじってみたかった。 |
厭債害債 2010/05/10 21:53 |
a-kunさんどうもです。おっしゃるとおりで、議員さんたち(民主党にかぎらず)に多く感じられる「外交」への感度の鈍さが気にかかります。 |
厭債害債 2010/05/10 21:58 |
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