出遅れた借りは交流戦で返す。12日に開幕するセ・パ交流戦。週に4〜5試合の変則日程に合わせて先発ローテーションが再編されるが、中心的役割を担いそうなのが今季初先発した7日のヤクルト戦(ナゴヤドーム)で好投した中田賢一投手だ。11日に28歳の誕生日を迎える右腕は、ソフトバンクとの“開幕カード”(同)の第2戦先発が有力。10日はナゴヤドームで吉見、朝倉の両投手とともに汗を流した。
戦いの前の静けさ。試合がなく、チーム練習も休みだった10日、ガランとしたナゴヤドームでは3人の投手の息づかいが響いていた。吉見、朝倉、そして中田賢。今季初登板となった7日のヤクルト戦で上々のピッチングで飾った右腕は、交流戦への闘志を隠そうとしなかった。
「ボクは1カ月ちょっと遅れている。一戦一戦大事に、全力で投げていく」。右前腕の故障で開幕に間に合わなかった悔しさは、勝つことでしか消せないのだ。
エース級の役割が期待されている。交流戦の最初の週はソフトバンク戦とオリックス戦の2カード4試合。先発は4人で足りる。10日の練習に参加した3人と、休養日だった山内を加えた4人が候補。開幕から吉見の登板日の翌日に必ず先発してきたチェンは、不調のため一時的に救援へ回って再調整する可能性が高い。中田賢はチェンの代わりに吉見の後ろを務める。働きは重要。中田賢は「パの打者は初球からどんどん振ってくるイメージがある。初球の入り方を慎重にして、最少失点に抑えたい」とパ・リーグ対策を語る。「どのチームもクリーンアップは強力。(最初のカードの)ソフトバンクには足の速い打者もいる。細心の注意を払わないといけない」
通算41勝。実績のある中田賢だが、不思議と交流戦では結果を残せていない。これまで3勝6敗。2軍落ちしていた昨季は1度も登板機会がなかった。「1年前は(テレビで)見ていました。交流戦ではいい思い出がないんです」と苦笑しつつも、「だからこそ変に意識せずにいける。相手にとっても初めてのピッチャーになるでしょう」。
苦い過去はプラス思考で肥やしに変えた。“交流戦ローテ”の中核として、中田賢がパ・リーグ勢を迎え撃つ。 (木村尚公)
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