「大相撲夏場所初日」(9日、両国国技館)
新大関把瑠都がはたき込みで栃ノ心を下し、昇進場所を白星でスタートさせた。大関昇進を機に今場所から発売された把瑠都弁当は、力士弁当の中で一番早く完売。土俵入りの声援も独り占め。過熱する人気と比例して大きくなる重圧と闘う15日間が始まった。横綱白鵬は栃煌山を一方的に寄り切った。大関陣では日馬富士が小結琴奨菊に寄り切られ、琴光喜も雅山に引き落とされた。魁皇は豊真将をはたき込み、通算1000勝まであと8勝とした。
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記念の白星をつかみ取った把瑠都を、館内の声援が包み込む。「把瑠都!」「おめでとう!」。照れくさそうに花道を 引き揚げると、付け人とアイコンタクト。引き技での決着にバツが悪かったのか、ペロっと一度、舌を出した。
春場所で猛威を振るった突き放しは健在だった。192センチ、157キロの栃ノ心をもろ手で伸び上がらせると、右のど輪で追撃。最後に左で後頭部をなぎ払って土俵に転がした。「四つに組むイメージだったけど、先場所のイメージが残ってたんじゃない」と把瑠都。本能が勝利を呼び込んだ。
土俵外でも上々の滑り出しだった。大関以上の力士(特例で高見盛も)の名前で、館内の売店で発売される力士弁当が把瑠都の分だけで200個用意された。約120個の他の力士と比べて破格の扱いだが、全力士で一番早く、午後3時ごろには売り切れた。この人気にあやかろうと、平日の2日目も他の力士の倍の60個が用意された。
高まる人気とのし掛かる重圧。その両方を肌で感じ取っている。当初はファンサービスのため、地下駐車場ではなく、地上を歩いて場所入りする予定でいたが「やめました。お客さんがすごいのもあるね」と断念。取組前も「5分で終わるから」と自分に言い聞かせて気持ちを落ち着かせた。
場所中9日目には、母国エストニアで相撲を教わったエストニア相撲連盟のランクニマ・リホー会長が来日する。恩人に優勝争いを見せるためにも、序盤の取りこぼしは許されない。「白星を重ねれば、調子も上がる。まだまだこれから」。大関としての真価はこれから問われる。