バルディリス(左)とタッチを交わす岡田監督(撮影・石湯恒介)
「オリックス11‐7ロッテ」(9日、京セラ)
一発が出れば同点、ヒヤヒヤの最終回を何とか逃げ切り5月初勝利。連敗を7で止めた勝利にもオリックス・岡田監督に笑顔はない。
「そんなうまいこといかへん。流れ悪いと1つ勝つのにもこんな苦労するんやから」
一度は首位に立つなど最高の滑り出しを見せた開幕当初。それでも指揮官は周囲に「どっかで連敗しよる。そのとき、どうなるかよ」と漏らしていた。勢いで勝っているだけで、本当の強さを感じなかった。そこに危機感を持っていた。
最大の危機を救ったのは、指揮官を恩人とあがめる来日3年目のバルディリスだった。五回には2死一塁から左翼席へ飛びこむ来日初の2試合連続アーチ。これで来日初の猛打賞となり、六回2死二塁からの適時打と合わせて4安打の固め打ち。さらに8日の試合から数えると6打席連続安打の離れ業となった。
「猛打賞は日本に来て初めて。6打席連続は米国時代にもない。チャンスを与えてくれたチームに感謝したい」
阪神から戦力外通告を受けた昨秋。「どこでもいい。日本でやりたい」と訴えた。手を差し伸べたのが、阪神時代の08年に獲得し、使ってくれた岡田監督だった。
恩人の期待に応えるためにも早出特打はもちろん、休日なしで連日打ち込んできた。「チームも苦しんだ。交流戦からはきっと変わるよ」とバルディリス。覚せいした助っ人が今度はセ界を震かんさせる。
(2010年5月9日)