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【コラム 撃戦記】

8月で36歳“引き際”決断のとき

2010年5月10日

 元世界王者で国民的ヒーローとまで言われた男の復帰戦にしてはお粗末だった。それも“世界前哨戦”と銘打ってだからいただけない。元王者のプライドも意地も見られなかった。

 相手はこれまで、2階級下のミニマム級で日本人相手に2戦2敗。それもKOで敗れている。内藤はフライ級。ファンも“それなりの”相手との復帰戦を見たかったはずだ。それを“最善の安全策”でマッチメークしたのに、見るべき内容がなかった。

 現王者は4度の死闘を繰り返したポンサクレックだ。興毅からベルトを取り戻したことから、巡り合わせを考えれば5度目の対戦を希望するのも理解できるが、ファンが知りたい真の実力には疑問が残ったままだ。この日もパンチに反応は鈍く、実戦感覚のズレも大きい。決定的なのはスピードの衰えだ。

 このまま陣営が描くようにポンサクレックとの対決となっても、王座奪還は難しいだろう。8月で36歳。“引き際”の決断が迫っているように思う。 (格闘技評論家)

 

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