中日−ヤクルト 初回、3回、8回と安打を放ち早くも自己最多タイとなる10度目の猛打賞を記録した森野=ナゴヤドームで
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◆ヤクルト9−0中日
殴られた。殴られまくった。一方的な試合展開。それでも森野は折れそうな気持ちを抑え込み、カウンターを放った。それも3度。いずれも2ストライクと追い込まれてからの単打だった。
「無抵抗で終わるわけにはいかないですよ。点差が離れていても、集中して大事にいこうと。自分勝手なスイングをするわけにはいきません」
1発目は4点を先制された直後の初回2死。ヤクルト・村中の変化球を右前へ運ぶと、3回には左前打。そして9点を追う8回にも、2番手の松岡から左前打を放った。「いつも通りに打つことを考えた」。無得点に終わった打線にあって、元気なところを見せた。
「負けていても、何とかしていかないといけないですから」。奇跡の逆転を信じ、次の試合につながることも信じる。そうやって常に集中するのが流儀。今季から選手会長に就任し、ファンサービスの充実を公約に掲げるなど、ファンを非常に大切にする31歳。だから3万人近いスタンドを、少しでも楽しませたいという気持ちもあった。
これで開幕から39試合目で10度目の猛打賞。早くも昨年の自身の記録に並んだ。シーズンでは37度ペース。オリックスのイチロー(現マリナーズ)が96年にマークした日本記録の26度をはるかに凌駕(りょうが)する。そして開幕から61安打は225安打ペース。94年イチローが持つ日本記録の210本(当時は130試合)を上回る。
打率は4割7厘に上昇し、リーグトップもキープした。「(シーズン終了時点の打率)4割なんて無理ですよ。どんなにいいバッターだって、打ててこなかったんですから」。そう謙虚に笑うが、ファンに夢を抱かせる結果を出している。
打率、安打数、得点圏打率(4割6分4厘)でリーグトップ。12日からは交流戦。元気な選手会長を中心にして、一方的に殴られた悔しさを何倍にもして、晴らしてみせる。
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