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御柱祭 転落者思い「御幣」

下社の8本建立大祭ほぼ終了

建御柱に向け準備作業中の秋宮一之御柱(右の三角すいの柱)のすぐ横を、秋宮四之御柱が曳行された。赤い服の氏子が秋宮四之御柱を曳いている(諏訪大社下社秋宮で)

 諏訪大社御柱祭(おんばしらさい)は下社里曳(さとび)き最終日の10日、残る御柱5本の「建御柱」が下諏訪町の春宮と秋宮で無事終わった。これで下社の8本すべてが建立され、数えで7年に一度の大祭はほぼ終了した。下社里曳き3日間の期間中、人出は44万9000人。4月の上社・山出しから計12日間の人出は、約192万5000人と過去最高だった。

 この日、秋宮で3番目に建てられた「秋宮三」は、死傷事故があった「春宮一」を担当した岡谷市旧市内の氏子が建てた。

 10日朝になって、秋宮三の曳行(えいこう)長川島泰武さん(72)に、転落した氏子3人の友人たちが「3人の思いを遂げさせたい」と、氏子が柱の上で持つ「御幣(おんべ)」を託した。

 川島さんは当初、事故には触れずに建御柱を行おうと考えていたが、友人たちの強い要望を受け、転落した3人分の御幣を立てることにした。

 最先端に乗る予定だった氏子は先頭から3人分を空けた位置に。川島さんによると、事故を受け、柱に乗ることを辞退した氏子も6人いたという。

 川島さんは、無事に建った御柱を見つめ、「いろいろ言えばきりがないが、単純に良かった。弔いになったという気持ちもある」と話した。

 一方、長さ約17メートル、重さ約9トンと下社で最も大きい「秋宮一」の建御柱は、8日の春宮での死傷事故を受け、柱に巻いた安全用ロープや、柱の周囲に張り巡らしたワイヤやロープのバランスを確認するなど、慎重に準備作業が進められ、柱を建てる作業は予定より3時間以上遅れの午後3時すぎに始まった。

 このため、午後2時半頃、準備作業中の「秋宮一」に、境内の外から曳行されてきた「秋宮四」が出会うという珍しい光景もみられた。

2010年5月11日  読売新聞)
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