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「県と国の関与不可欠」 熊本市、働きかけへ

赤ちゃんポスト3年

ゆりかご問題への取り組みを語る幸山市長

 10日で運用開始から丸3年を迎えた慈恵病院(熊本市)の「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)。4月に児童相談所を新設し、ゆりかごにかかわる業務全般を担う熊本市の幸山政史市長は10日、報道陣の取材に対し、「ゆりかごの運用や課題の検証に向け、県と国のかかわりが不可欠」との考えを強調した。

 幸山市長は、3年間の運用を振り返り、「いいとか悪いとか、断定的な評価ができる状況ではなく、検証を継続していく。救われた命があることについては、一定の役割を果たしていると思う」と述べた。

 児童相談所の新設に伴い、ゆりかごの業務が、県中央児童相談所から移管されたことについては、「県と人事交流を行い、しっかり準備してきた。検証は市が主体的に取り組まないといけないが、県にも協力してもらいながら進めていきたい」と語った。

記者会見する蓮田理事長(左手前)

 また、県の検証会議による最終報告書に盛り込まれた国の積極的な関与を求める提言に対し、国から回答がないことを明かし、「正面から受け止めてもらっているとは言い難い」と国の姿勢を批判。「子供の幸せや人権を守る観点から、積極的にかかわっていただきたい」と今後、働きかけを強める考えを示した。

 「こうのとりのゆりかご」を巡る状況について10日記者会見した慈恵病院(熊本市)の蓮田太二理事長と田尻由貴子看護部長は、悩みを抱える妊産婦の相談体制を強化する必要性を強調した。主なやりとりは次の通り。

 ――相談体制は十分か

 「まだまだ不十分。慈恵病院で受け付けている相談の6割以上が県外。この状態を傍観している行政に憤りを感じる。国は経済支援をするなどして拡充を図るべきだ」

 ――今も預け入れが続いているのか

 「預け入れのペースはそんなに変わっていない」

 ――預けられた子供の処遇についてどう思うか

 「施設ではなく、実子として愛情を受けて育てられる方が幸せと思う。病院には、子供がほしいという連絡が400人以上から寄せられており、特別養子縁組の推進に取り組むべきだ」

 ――国がとるべき対策は

 「ゆりかごへの預け入れも養育放棄の一つと位置付けられている。全国的に虐待が増えており、国が早く手を打たないと、社会が崩壊するのではないかと不安にかられる。なぜゆりかごが利用されているか、一人ひとりに考えてほしい」

2010年5月11日  読売新聞)
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