【コラム】タダ飯で人生を棒に振る人たち(下)

 釜山の建設業者チョン氏が記録した検事の接待内訳書を見て、今日の韓国社会最高のエリートを手玉に取ることはそれほど難しくはないと思った。接待の内訳は、ほとんどが食事代や酒代、タクシー代だった。韓国料理店や日本料理店で1次会、女性コンパニオンが接客するルームサロン(高級個室バー)で2次会、一部3次会に行った者もいる。この接待では4人に対して300万-400万ウォン(約25万―34万円)使ったと記載されている。庶民からすれば驚くほどの額だが、汚職が横行している業者からすれば大した額ではない。この程度の額で有力者らを引き入れることができるのなら、むしろ安いといえよう。まじめに働く大多数の検事からすれば悲しいことだが、これが現実だ。

 接待ビジネスにおける3人の関係者、「与える者」「もらう者」「密告する者」のうち最も大きな被害を被るのは「もらう者」だといえよう。公職や社会的名声は「賄賂授受」「スポンサー」という単語と結ばれた瞬間に失われてしまうからだ。しかし考えてみれば、これまでの苦労が酒と食事で水泡に帰すというのは滑稽というほかない。

 ロビー活動の始まりは「一度食事でも」という誘いからだ。だが世の中に「タダ」は少ないものだ。問題は「(接待を受けているのは)わたしだけではない」ということではなく「受けたか、受けなかったか」だ。いくらタダだからといって接待を受ければ、陰険な者たちの「少額買収可能者リスト」に必ずや名を連ねることになる。

エンターテインメント部=パク・ウンジュ部長

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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