英語塾にしがみつく会社員たち

「英語が学歴よりも重要」

 大企業系列の金融会社に勤務するキム代理(34)は、今年初め、課長の昇進人事で不合格となった。2年前、本社に異動する前に働いていた支店では、同期たちを圧倒する営業成績を上げ、入社してから大きな問題を起こしたこともない。そんなキムさんが昇進できなかった理由は「英語力」だった。課長に昇進するためには、英語の基準がTOEIC630点以上、会話テスト(OPIc・英語会話能力測定試験)中級以上必要なのだ。キムさんは「他の考課点数では他の人に負けるはずがないのに、英語の点数が基準点ギリギリの水準だったことが致命的だった」と話す。

 彼は、最近早朝5時に起きて、会社の近くにある語学学校に通い、6時30分から始まる会話クラスに参加した後、出勤している。キムさんは、「入社してからこんなにも英語に苦しめられるとは想像もしなかった。業務能力が自分より劣っていても英語が上手な同僚たちが昇進するのを見ると、寂しい気持ちになる」と話した。

 米国、インド、タイなどとの雑貨の貿易業に携わるチェさん(33)は、2008年11月、半強制的にそれまで勤めていた中小企業を辞めた。チェさんは「アジア通貨危機の中、13人の社員のうち、5人が辞めなければならなかった。そこで、英語ができず海外営業の機会が少なかった自分が実績もなく辞めるしかなかった」と話した。

 職場における英語格差の影響は、一層深刻化している。英語はサラリーマンにとって昇進と出世を決定づける欠かせない道具となった。「英語は学閥をも越える」という言葉が交わされるほどだ。大部分の企業で、昇進の際に英語力を「ものさし」とし、TOEFL(米国やカナダへの留学の際に必要な英語能力テスト)やTOEIC(国際コミュニケーション英語能力テスト)のスコアよりも会話能力を全面に出し、英語の基準を大幅に強化している。

 各企業では社内掲示板の伝言メモには全て英語を使用し、英語による会議、英語の報告書なども続々と導入されている。IT企業大手に勤めるチョン次長(35)は、「英語を必要としない部署でも英語から決して解放されることはない。リストラのシーズンが来るたびに、英語ができない人は退職希望者リストの1位に挙げられるといううわさが広まる」と話した。今年1月、ジョブ・コリアがサラリーマン2042人を対象に、「不景気の際に会社員が最も後悔することは?」というアンケート調査を行った結果、1位はやはり「英語」(27.2%)で、専門技術と資格(25.1%)、良い学歴(15.3%)よりも高い数値となった。

李仁烈(イ・インヨル)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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