巨額を投じるもガラガラの新築刑務所(下)

 密陽拘置所も昨年9月、慶尚南道密陽市府北面に完成した。定員は470人だが、現在収容されているのは44人だ。職員も200人ほど必要だが、実際に勤務しているのは90人だ。

 これらの地域でも、1980年代から海南警察署と密陽警察署の留置場が拘置施設として使用されてきた。平均25人の未決囚が収容されている海南警察署は、10人の職員が3交代制で勤務している。密陽警察署も12人の職員が3交代制で勤務しながら、1日平均30人の未決囚を監視している。これらの警察署も、刑務所や拘置所が新たに設けられたため拘置業務が移されるものと期待していたが、完成から数カ月が過ぎた今も何の音沙汰もない。

 警察署内で拘置業務を担当するある警察官は、「巨額の税金を投じて矯正施設が建設されたが、これを活用できていないのは問題だ。警察官が拘置業務に駆り出されているため、容疑者の逮捕や犯罪の予防といった本来の業務ができない。こうした状況はここ何十年も続いている」と述べた。

 矯正施設が正常に運営されていないことから、本来ならばより改善された環境で生活することのできる未決囚に対する人権侵害という指摘も出ている。

 この問題について、刑務所業務を管轄する法務部は、「施設の点検や職員の定員確保に取り組んでおり、7月ごろには、正常な運営が可能になる見通しだ」と説明している。

江原道寧越警察署捜査課の職員が、監視カメラで警察署内にある留置場を監視している。この地域の未決囚らは、最近完成した寧越刑務所に移送されず、寧越警察署内の留置場に収監されたままだ。/写真=洪瑞杓(ホン・ソピョ)記者

寧越=洪瑞杓(ホン・ソピョ)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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