巨額を投じるもガラガラの新築刑務所(上)

 政府が数百億ウォン(100億ウォン=約8億円)を投じて矯正施設を新たに3カ所設置したが、職員不足が原因で未決囚の収容が行われていないどころか、完成から数カ月が過ぎた今も開所式さえ行われていない。実際の収容人数も定員の10%ほどだ。その結果、未決囚の多くは警察署内の留置場に収監されたままになっており、警察署のスペースや警察官にとって大きな負担となっている。

 法務部は昨年9月、江原道寧越郡寧越邑に寧越刑務所を建設した。収監施設や職員官舎など、15棟の建物で構成されたこの刑務所は、未決囚100人と既決囚400人の計500人が収容可能だ。2006年に工事が着工し、388億ウォン(現在のレートで約31億円)を投じて完成した。

 しかし、完成から4カ月が過ぎた今年1月に、ようやく100人の職員が配置され、2月に既決囚46人が移送された。現在、完成から8カ月がたったが、収容人数は定員のわずか10%ほどで、未だ開所式も行われていない。必要とされる200人以上の職員のうち、半分しか確保できていないためだ。

 そのため現在は、寧越警察署の留置場が代用されている。寧越警察署は1982年から拘置業務を行っており、寧越、平昌、旌善、太白地域の未決囚が1日当たり平均35人収容されている。未決囚は一人当たり3.3平方メートル基準で、16.5平方メートルの六つの部屋に分かれて生活している。だが、新築の刑務所に比べると、環境はかなり劣悪だ。寧越警察署捜査課の留置管理チームは合計9人で、チーム長を除く8人が4人1組となって、24時間2交代制で勤務している。休日などで欠員が生じた場合、実際の勤務者は3人となる。さらに、火曜日や木曜日など公判が行われる日は護送もしなければならないため、前日の勤務者は、6時間から7時間の時間外勤務を余儀なくされる。留置者が多い場合には一般の警官も護送に投入されるため、治安維持などの活動が後回しになることもある。これらの問題を解決するため、新たに寧越刑務所が建設されたわけだが、完成後も事情はまったく変わっていない。

 全羅南道の海南刑務所や慶尚南道の密陽拘置所も事情は同じだ。昨年11月、全南海南郡玉泉面に完成した海南刑務所は、12月31日に運営認可を取得した。しかし500人が収容可能にもかかわらず、実際は40人しかいない。勤務している職員も100人ほどで、実際に必要な数の半分だ。海南刑務所は来月4日に開所式を行う予定だが、計画通りに実施されるか定かではない。

完成から8カ月が過ぎても職員を確保できず、十分に活用されていない江原道の寧越刑務所。/写真=洪瑞杓(ホン・ソピョ)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

このページのトップに戻る