LG製液晶ディスプレー、日本市場攻略の秘密(下)

 これに対し、LGはややこしい要求にも応えている。日本市場向けに消費者のニーズに合う製品を開発し、NTTドコモ経由で昨年は150万台を売り上げた。LG電子が世界約40カ国で発売した「プラダフォン」は、日本向けだけ仕様が異なった。

 日本人は通勤のために電車の中で過ごす時間が長い。しかし、電車内では一般に電話をかけず、携帯メールをやりとりするのが普通だ。そこに着目し、LG電子はキーボードを誤作動が少ないものに変更した。

 このほか、日本の家庭では洗濯機をタイルの上ではなく、合板の上に置いて使うケースが多い。このため、震動で動いたりしないように設計することが必要だった。

 大手ブランドに押され、テレビは撤収したが、ディスプレーは市場の性格が異なると判断したことも奏功した。ディスプレーの購入者はパソコンを熟知しているケースが多く、そういうユーザーほどブランドよりも品質を重視するためだ。

 最近、韓国のIT関連メーカーの好業績が日本のメディアに頻繁に報じられ、ブランドイメージが以前よりも向上した。LG電子は「たくさん売れれば、頻繁に報道され、さらに販売が伸びる」という好循環が定着するとみている。

 LG電子は研究拠点となる「東京リサーチラボ」を1981年に、「LG電子デザイン日本」を92年にそれぞれ設置し、研究開発に長い時間をかけてきた。

 疑問も存在する。複雑な日本市場で自社ブランドを消費者に売り込む必要性があるのかという点だ。日本向け製品は他国では売りにくいため、経営効率面で言えば、あきらめた方がよいかもしれない。

 ただ、LG電子の考えは異なる。LGエレクトロニクス・ジャパンの李揆弘(イ・ギュホン)社長は「日本市場の目は最も厳しい。ここに合わせることができれば、どんな困難も克服でき、他国の消費者も似たような方向に動く可能性が高い」と指摘した。

張祥鎮(チャン・サンジン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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