米国産牛肉:本来の姿に戻ったネット上のコミュニティー

ろうそくデモから2年

 2年前の夏、ソウル都心に毎晩のように集結した市民たちは、それぞれ所属する組織を表わす旗の下に集まっていた。「ソウル(soul)・ドレッサー(ファッション)」「82cook(料理)」「MLBパーク(野球)」「SLRクラブ(写真)」「DVDプライム(DVD鑑賞)」「韓流熱風愛(韓流文化)」といった、インターネット上のウェブサイトやコミュニティーの旗だった。これらのコミュニティーは、米国産牛肉の輸入反対運動とは無関係だったが、その多くに数万人-数十万人の会員が加入していたため、国民に狂牛病(牛海綿状脳症〈BSE〉)の恐怖を伝え、輸入反対運動に駆り立てる役割を果たした。

 あれから2年後の今、これらのコミュニティーは、趣味を共有したり、親睦を深めたりする、本来の役割を取り戻していた。「韓流熱風愛」の運営者A氏(39)は、「米国産牛肉の輸入問題が起こった後、“ガス抜き作業”を行った。一部の運営スタッフを入れ替え、ホームページもリニューアルして、“韓流文化を広め、アピールする”という本来の姿に戻った」と語った。

 2008年5月31日、写真愛好者のコミュニティー「SLRクラブ」のメンバー約50人は、自主的に「市民記者団」を結成し、「PRESS」と書かれた腕章を着け、集会の現場で撮った写真を「市民記者団ギャラリー」という掲示板にアップした。だが、この掲示板には今、米国産牛肉の輸入問題に関する内容はまったくなく、火災や交通事故、不良品の告発などに関する写真だけが掲載されている。

 SLRクラブの関係者は、「当時の市民記者団は、現在は活動していないと聞いている。クラブの掲示板にまったく書き込みをしていないメンバーもいる」と話す。

 「DVDプライム」で活動していたB氏(38)=自営業=は、「今は仕事に専念し、普通の父親に徹している。米国産牛肉の輸入問題には、もうかなり前に関心がなくなった」と語った。B氏は当時、数人の会員たちとともに「DVDプライム」の旗を掲げ、1週間に3-4回、夜10-11時まで集会に参加していた。

 そんなB氏は「わたしはもともと、政治や社会問題に関心がなかった。しかし、あの当時は、ろうそくデモに関心を持たなければ、『考えを持たない人間』としてバカにされるムードだったのではないか」と話した。

 「ソウル・ドレッサー」などのコミュニティーを主宰していたC氏(25)も、最近は特別な活動をしていない。当時の状況について、C氏は「コミュニティーの書き込みを見て、メンバーたちが個人的に集まったにすぎない。当時、集会の現場で話題になったのも、国営企業の民営化、メディア関連法、4大河川(漢江・洛東江・錦江・栄山江)再生事業など、人それぞれだった」と語った。

金慶和(キム・ギョンファ)記者

【ニュース特集】米国産牛肉輸入問題

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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