金総書記訪中:北朝鮮、中国の要求を無視(下)
中国からの内政干渉的な提案は報道せず
■「無償援助」という表現もなし
経済難に苦しむ金総書記は、今回の中国訪問で「無償援助」というプレゼントを強く望んでいた。2004年の訪中時、労働新聞は「中国側は無償援助を提供し、金正日同士は感謝の意を伝えた」と報じている。同紙によると、金総書記は06年にも、「私心のない支持と援助に対してありがたく感じている」と発言したという。
しかし今回は、北朝鮮も中国も「無償援助」という表現は使わなかった。新華社通信が温家宝首相の「北朝鮮の民政改善を積極的に支持する」という発言を報じたことから、金総書記は手ぶらで帰国するようなことはなかっただろう。しかし一方では、「住民に宣伝するほどのものではない」(パク・ビョングァン国家安保戦略研究所)という見方もある。温首相が昨年10月、北朝鮮に対して2000万ドル(現在のレートで約18億5400万円、以下同じ)の支援を約束したことを考えると、今回の支援について韓国政府の当局者は、「コメ10万トンほどになるのではないか」とみている。これは6000万ドル(約55億2800万円)に相当する。
■北朝鮮にとっては半分の成功
金総書記が今回の訪中で手にした成果は決して少なくない。まず金総書記は、李明博(イ・ミョンバク)大統領と胡主席の首脳会談からわずか3日後に訪中した。哨戒艦「天安」沈没事故の問題で「中朝両国の血盟関係」が、韓中両国の「戦略的同伴者関係」を上回ることを示したとされている。中国は北朝鮮が天安を沈没させたという明確な証拠が出るまでは、この問題で慎重な態度を貫く可能性が高い。また中国は、金総書記の三男ジョンウン氏が後継者になる可能性についても、「干渉しない」というメッセージを伝えている。労働新聞も、胡主席が「中朝親善は代を受け継いでいくのが両国の歴史的責任」と発言した、と報じている。
韓国政府の安保当局者は「今回の訪中により、金総書記は天安問題による国際的孤立という“足下の火”は消し止めた。しかし一方で、後見人として必要な中国が干渉を始めようとしている事実は実感したはずだ」と述べた。中国の経済的影響力が政治面にも徐々に波及しているということだ。中央大学のイ・ジョウォン教授は「韓国に頼るべきところを中国に助けを求めたため、“内政干渉”を受ける結果になった」という見方を示した。
アン・ヨンヒョン記者
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