ステラ作品、ソウルでゴミ扱い!?
出所の条件は申し分ないが、あまりにも不格好なため、お披露目と同時に蔑視と嘲笑を受けることになった哀れな存在が、ソウル・江南地区のど真ん中にある。「公共デザイン」という概念がまだ耳慣れなかった1997年、鉄鋼大手ポスコが設置した、有名芸術家の造形物「アマベル」だ。
江南のテヘラン路にあるポスコビルの前に設置されたこの作品は、米国の芸術家フランク・ステラ(74)がデザインしたもので、材料は飛行機の残骸(ざんがい)だ。アルミニウムやガラスのかけらを一つ一つ組み合わせて作ったこの作品は高さ9メートル、重さは30トンにもなる。
フランク・ステラは「現在生存する最高の芸術家」ととして名高い。ポスコは当時、この作品を180万ドル(約1億6900万円)で購入した。フランク・ステラは親友の娘「アマベル」が飛行機事故で亡くなった後、彼女を追悼するため、作品に親友の娘の名前を付けた。
くず鉄でデザインされた重苦しい花は、その意味とは別に、韓国社会に「公共芸術とは何か」という哲学的な苦悩をもたらした。当時、数人の市民がポスコに対し、「見た目がよくない」と抗議したこともある。
製作過程で、古物商が作品の一部をくず鉄と勘違いして持ち去ろうとした、という話もある。こうした不評を受け、ポスコは設置から2年後に「アマベルを国立現代美術館の芝生に移設する」と発表したが、芸術界を中心に、反対の声が上がった。
「芸術の美は見方次第だ」「アマベルは人間文明に対する批判的苦悩を込めた芸術品だ」「撤去するのに4億ウォン(約3390万円)かかる」「ポスコ会長が世代交代したからといって、前会長が持ち込んだ造形物まで替えるというのか」
政治的理由のため、という陰謀論も浮上した。企業がスター芸術家の作品を購入する際は、通常ギャラリーの仲介を通す。しかしアマベルは、当時のポスコ会長が世界鉄鋼協会の推薦により直接購入したといわれている。
そのため次のようなうわさも出た。「アマベルは“世界鉄鋼協会事務総長の娘”を追悼するものであるため、高値で買った」「当時、会長が世界鉄鋼協会長の座に早く就きたかったため、世界鉄鋼協会事務総長の紹介で、鑑識眼もなく勢いで作品を購入した」
こうした論争にもかかわらず、アマベルはいまだに同じ場所に存在する。ポスコはこの周辺に松の木をぎっしりと植えて作品を隠してきたが、その後、松3本とケヤキ1本を伐採した。今でも松やケヤキ、街灯が作品の周囲を取り囲んでいる。
アマベルは、「デザイン・ソウル」が誕生するまで公共芸術の歴史上、一つの「事件」になった。だが、その存在一つで韓国社会に多種多様な考えをもたらしたという点を考慮すると、芸術の力はやはり予想できない。
韓慶珍(ハン・ギョンジン)記者
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