「香港現地職員の韓国語熱にビックリ」

香港の極東金融センターにある韓国外換銀行の会議室で、韓国語を教える辛賢承支店長と現地職員たち。/写真=李恒洙(イ・ハンス)特派員

 「ここはどこですか」(シンディ)

 「ワイワン・インハン(外換銀行)です」(メニー)

 「ほら、また中国式に発音してる」(支店長)

 先生の声に力がこもると、会議室には笑い声がはじけた。「もう一度言ってみてください。ウェハン・ウネン(外換銀行)」

 毎週木曜日の午後6時から、香港島金鐘(アドミラルティー)の極東金融センター32階にある外換銀行会議室では、韓国語を読む声が響きわたる。4月22日には15人が受講した。韓国語の先生役を務めるのは、辛賢承(シン・ヒョンスン)支店長(52)だ。

  受講生たちは、慶煕大が発行している教材「韓国語初級課程」を見ながら、「ここが学生食堂(外換銀行/図書館/教室/運動場/郵便局)です」という文章で会話練習をしていた。まじめに会話練習をしながらも、発音を間違えるたびに会議室は笑いに包まれる。

 辛支店長は今年初め、香港の現地職員のうち何人かが韓国語の勉強をしていることを知った。理由を尋ねると、「韓国のドラマをちゃんと理解したくて」「韓国人の顧客によりよいサービスを提供したくて」などの答えが返ってきた。現地職員35人全員にアンケートを実施したところ、「会社が韓国語講座を開いてくれれば受講したい」と答えた職員が20人に上った。授業時間は毎週木曜日の午後6-7時に決まった。

 だが、専門の講師を探すのは容易ではなかった。しばらく講座を開かないまま時が過ぎたが、ニューヨークとロンドンでの勤務経験があり、学者ぞろいの家庭で育った辛支店長に白羽の矢が立った。ソウル大経済学科出身の辛支店長は、趙淳(チョ・スン)元ソウル大総長のおいに当たり、二人の兄弟も大学教授だ。こうして2月初めに始まった講座は11回を数え、宿題をサボる受講生もまだいない。

 辛支店長は、「受講生のうち4人は韓国で6カ月間の韓国語研修を終えたレベルで、一部は本当に初級レベルだが、読解、作文、会話などを平行しながら進めている」と語る。また、「韓国語や韓国を学ぼうとする香港の職員の情熱を、肌で感じている。2カ月ほど教えてみたが、今では目を見るだけで何を考えているのか分かるほどになった」とも話す。

 支店では月に1度ずつ、韓国人職員8人を含め全員で食事会を行っているが、今年はすべて韓国料理店が会場だ。韓国料理と文化を早く理解しようという、受講生と先生の強い思いの表れだ。

香港=李恒洙(イ・ハンス)特派員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

このページのトップに戻る