韓国家電メーカー、中南米で「サッカー戦争」!?(上)

アルゼンチンのプロサッカーチーム、ボカ・ジュニアーズのホームグラウンド「ラ・ボンボネーラ」スタジアムでは、赤はタブーだ。ライバルのリバープレートが赤をクラブカラーに使用しているからだ。しかし、LG電子がボカ・ジュニアーズのスポンサーになったことで、このタブーは破られた。/ブエノスアイレス(アルゼンチン)=趙儀俊特派員 

 3月20日午後3時、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスにある「ラ・ボンボネーラ」スタジアム。アルゼンチンの名門サッカーチーム、ボカ・ジュニアーズとリバープレートとのライバル戦が行われた。暴動に備え、完全装備した警察官が競技場を包囲し、双方のファンが顔を合わせないよう、互いに別のゲートから入場した。6万人余りの観衆が合唱する応援歌は、まるで戦場での軍歌のようだった。スタジアムの外では、いつフーリガンに変貌するか分からないファンたちが旗を掲げ、警察の目を避けて走り回っていた。

 ラ・ボンボネーラのタブーは「赤」だ。ライバルチーム・リバープレートのクラブカラーだからだ。そのため、本来なら赤であるはずのコカ・コーラのロゴまで黒になっている。そんな場所で唯一存在する赤といえば、LG電子のロゴだ。

 LG電子アルゼンチン法人のカン・サンウク次長は、「昨年8月、LG電子がボカ・ジュニアーズのメインスポンサーになったとき、“チームカラーに赤が持ち込まれる”とファンが不買運動を行ったこともある。ブランドを表に出すため、最後まで押し通し、今では静かになった」と語った。ユニホームにはLGの赤いロゴが入り、二つあるLGの大きな垂れ幕は、スタジアムの両側で一番目立つ位置を占めている。

 リバープレートのメインスポンサーは、ブラジルの国営石油会社「ペトロブラス」だ。だが、国際サッカー連盟(FIFA)ワールドカップ(W杯)南アフリカ大会の開催を今年6月に控え、サムスン電子に変わる可能性が大きい。現地メディアは、「サムスン電子が単独候補として、2年間のメインスポンサー契約をリバープレートと交渉中」と報じた。最終契約が成立すれば、アルゼンチン最大のライバルチームのメインスポンサーが、いずれも韓国企業になるというわけだ。カン次長は、「ここではサッカーの激しさがよく話題になるが、その裏には生死を懸けた企業の戦いもある」と語った。

■中南米サッカー戦争を繰り広げるサムスンとLG

 今回のサッカーW杯は、全世界的にアナログテレビからデジタルテレビへの転換期を迎える中で開催される。中南米では、今年から本格的にデジタルテレビ放送が始まり、米国やヨーロッパでは3D(三次元立体画面)中継が行われる。サッカーは、韓国企業が死活を懸けて推進している3Dテレビ・マーケティングの「核」として浮上せざるを得ない。

 チリでは、今年2月末に大地震が発生したにもかかわらず、今年のテレビ販売量が前年比の90%以上も増えると予想されている。アルゼンチンも、外貨不足による債務不履行の危機にあるが、テレビの販売量は2倍以上に増えるものと予想される。アルゼンチンのクレジットカード会社は、インフレ率が10%に迫る中、液晶ディスプレー(LCD)テレビを買う顧客に対し、50カ月の無利子ローンサービスを提供している。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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