民主最大の後ろ盾「連合」共倒れ懸念…小沢を切り捨て? 

2010.05.10


連合結成20周年記念レセプションで鏡割りの準備をする小沢一郎幹事長(左)と古賀伸明・連合会長【拡大】

 民主党の小沢一郎幹事長(67)が、力の源泉の1つを失いつつある。最大の支持団体として昨年の政権交代を後押しした連合が、民主党政権の失速ぶりに危機感を募らせているのだ。失速の原因が、小沢氏が引きずる「政治とカネ」の問題と、鳩山由紀夫首相(63)の統治能力欠如という致命的なものだけに、連合内にも不協和音が噴出。吹き始めた『すきま風』は、小沢氏の政治生命にも影響しかねない情勢だ。

 「鳩山政権は非常に厳しい局面を迎えている。将来の安心を見いだせない国民のイラ立ちが背景にある」

 連合の古賀伸明会長は先月29日のメーデー中央大会あいさつで、同席した首相に向かって、「明快なメッセージの発信と、確実な実行」を迫った。支持団体とは思えない厳しい口調に、首相の表情はやや引きつった。

 さかのぼる同5日には、古賀氏が「マニフェスト(政権公約)で見直すべきところは大胆に見直すべきだ」と直談判したが、首相は米軍普天間飛行場の移設問題で頭がいっぱいなのか、公約修正の着地点は見いだせていない。

 同19日には、南雲弘行事務局長が、小沢氏側近の山岡賢次国対委員長(67)と国会内でひそかに会い、製造業派遣の原則禁止を柱とした労働者派遣法改正案について、「この成立を最優先にしてほしい」と要請。山岡氏は「分かりました」と応じたが、成立見通しへの具体的言及はなかった。

 連合による相次ぐ民主党幹部へのアプローチ。民主党の失速に加え、北海道教職員組合事件で、民主党への労組支援が厳しい視線にさらされていることも、焦りに拍車を掛けているようだ。

 そもそも民主党と連合の蜜月関係は、2006年4月の小沢氏の代表就任がスタートといえる。

 前任代表の前原誠司国交相(48)は「脱連合」路線を掲げていたが、小沢氏は方針を180度転換。連合幹部と信頼関係を築くだけでなく、当時の高木剛会長らと地方行脚に出かけ、地方の組織幹部とも酒を酌み交わした。

 連合関係者は「小沢氏は一緒に酒を飲み、政治の話をし、ともに写真を撮ることで、組合員の中に多くの『小沢ファン』を作った。福田内閣時代の07年11月、自民党と民主党の大連立騒動があった。連合中央は反対だったが、地方から『小沢さんが言うのならいいじゃないか』という声が多数あがってきた。そこまで、信頼関係を築いていた」と振り返る。

 小沢氏にとって、絶対忠誠を誓う「小沢チルドレン」の存在と、連合との蜜月関係は、最大の後ろ盾と言える。

 ところが、小沢氏の政治とカネの問題が炸裂。元秘書ら3人が逮捕されたほか、東京第5検察審査会は先月末、小沢氏について「起訴相当」という議決を全員一致で下した。こうした動きを受け、小沢氏と連合の蜜月関係にも陰りがみえてきたのだ。

 3月末、小沢氏主導で参院選静岡選挙区への2人目擁立が決まったことに、吉岡秀規・連合静岡会長が「(小沢)幹事長が2人擁立の提案とセットで辞職届、辞任届を出す覚悟があるなら、党支持率は上がる」と、突然、小沢降ろしの“狼煙”を上げた。

 直後に、古賀氏は謝罪したうえで、吉岡氏を厳重注意した。だが、「地方組織などから『吉岡氏の主張はもっともだ。何か、小沢氏に負い目でもあるのか!』といった批判まで寄せられている」(連合関係者)。

 ある連合幹部も「小鳩体制をリセットして参院選に勝てるなら、それでいい」と漏らす。

 国民の信を失い、後ろ盾にも見放されつつある小沢氏。形勢逆転の秘策はあるのか。

 

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