米国のラフード運輸長官は10日、トヨタ自動車本社(愛知県豊田市)を訪れ、大規模リコール(回収・無償修理)問題を受けた同社の品質改善の取り組みなどを直接視察した。その後、豊田章男社長と共同で記者会見を行い、トヨタの改善策に一定の評価をしながらも、一連の問題に対しては今後も厳しく調査する意向を示し、追加制裁金を科す可能性も排除しなかった。【宮島寛、鈴木泰広】
ラフード長官の本社訪問は、リコール問題後の品質強化策をアピールしたいトヨタの要請に応じて実現した。長官は午後1時ごろトヨタ本社に到着。豊田社長らと昼食懇談後、1時間余りかけてトヨタの品質対策について意見交換し、品質担当部署を視察した。長官は会見で「対策が本当に実行されるかが大事であり、今後の推移をしっかりと見ていく」と述べた。
カローラなど8車種のアクセルペダルの不具合で1月に米国で実施したリコールについて、トヨタはすでに米運輸省が事実上の欠陥隠しだとして科した約15億円の制裁金の支払いに応じる意向を示している。今月13日に初審理が行われる集団訴訟への影響を考慮して、米運輸省の主張には反論しつつ、制裁金支払いで事実上の和解に応じ、「論争の長期化を避け、品質強化に集中したい」と幕引きを図る思惑があった。
しかし、ラフード長官は会見で、現在トヨタから提出を受けた別件についての社内資料を精査中とした上で、「あるべき姿でないものが見つかり、制裁金が必要なら(とるべき対応は)誰にでも分かる」と述べ、プリウスのブレーキの不具合など、調査結果次第では追加制裁を辞さないとの姿勢を明確にした。
一方、豊田社長は「ドライバーの安全を確保するという最終的な目的は全く共通している」と強調。訪米時に、品質対策の進ちょく状況をラフード長官に直接説明する意向も示し、終始、米運輸省との協調姿勢を訴えた。
毎日新聞 2010年5月10日 22時16分(最終更新 5月10日 23時32分)