国土交通省と環境省は、6月から実施予定の地方を中心とした37路線50区間(全国の高速道路延長の約18%)で無料化する社会実験による二酸化炭素(CO2)排出量の試算を発表した。国交省の試算では現在より年間25万トン減少すると出たが、環境省は年間33万トン増えるとなり、逆の結果となった。
試算の方法や条件次第で排出量が増えたり減ったりと幅が出た。今後、両省で検証を進めるが、環境省の試算でも通勤での高速道路利用などを考慮しておらず、CO2排出予測の信頼性に課題がある。
国交省は、無料化によって新たな交通需要が生まれ、鉄道から高速道路の利用へ転換することによるCO2排出増効果をはっきり計算できないと判断。高速道路の利用で一般道の混雑が緩和される削減効果に着目し試算した。
逆に、環境省は鉄道から高速道路への利用増には対応しているが、一般道の混雑緩和効果は反映できないという。
ただ、いずれの試算でも増減量は、日本の運輸部門の温室効果ガス排出量の0.1%にとどまり、小沢鋭仁環境相は「結果に大きな差はなく中立的だ。社会実験が始まれば、データをしっかり蓄積したい」としている。