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脆弱なガバナンスでマニフェストを崩壊させた民主党

経済アナリスト 森永卓郎
2010年 1月12日

 鳩山内閣の支持率がじわじわと下がっている。その理由は、景気・基地・献金の3Kと言われているが、何よりも大きいのは、マニフェストをかかげて選挙をしておきながら、3カ月もしないうちに主要政策が実行されなくなったことにあるのではないか。

 なかでも国民の関心が高い3つの政策のうち、子ども手当は当初の計画のまま実行されることになったが、高速道路無料化と暫定税率廃止は基本的に見送りとなった。すでに、民主党のマニフェストは崩壊しているといっても過言ではない。

 高速道路の無料化は、当初の予算要求6000億円が1000億円程度に減額された。無料化の詳細は発表されていないが、地方にある2車線区間を対象にして、社会実験として実施されるだけのようだ。これまで実施されてきた休日の上限額1000円が廃止されるだけでなく、深夜割引、通勤割引、早朝夜間割引、休日割引なども全廃される可能性がある。軽自動車は優遇措置として上限1000円が維持されるものの、実質的な値上げになるわけだ。

 しかし、疲弊する地方経済を活性化するために、今こそ高速道路無料化と暫定税率廃止を実施すべきだった。車しか交通手段がない地方では、この2つの経済効果が集中的に現れるからだ。

 民主党のマニフェストで景気に対する効果が高いのは、暫定税率廃止と高速道路無料化が2本柱だった。それを見送ってしまったのは残念というしかない。

 ではなにがマニフェスト崩壊を導いたのか。財源不足が理由であるというが、それは本当だろうか。わたしは疑問に思うのだ。

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