望 〜都の空から
東京の魅力や四季の彩り、さらに課題も空撮で紹介します
【社会】国民投票法 施行控え 映画完成 86歳 『9条』守る闘い2010年5月10日 夕刊 八十六歳の草の根平和運動家、益永スミコさん=埼玉県狭山市=のドキュメンタリー映画「死んどるヒマはない−益永スミコ86歳」の完成上映会が十二日、東京都中野区の「なかのZERO」で開かれる。憲法改正の手続きを定めた国民投票法の施行を十八日に控えていることから、上映後、日本の戦争責任と平和をテーマに、益永さんと元中国出征兵士によるトークなども行われる。 (松村裕子) 益永さんは、戦争をすることに何の疑問も抱かない「軍国少女」で、多くの兵士が戦地に赴くのを見送ってきた。戦後、勤務する病院で労働組合をつくったのを機に歴史を見直し、「二度と戦争をしてはいけない」と心に誓う。その後、さまざまな市民運動に携わり、戦争放棄と戦力不保持を掲げる憲法九条を守ろうと、今も一人で街頭に立って署名を集めるなどしている。人権擁護活動にも携わり、死刑廃止を求める立場から、連続企業爆破事件の死刑囚を養子にした。 映画では、益永さんの半生を紹介、強い信念と行動力が分かる。 映画は社会問題のビデオを手掛けるビデオプレス(東京都板橋区)が三年余りかけて制作した。松原明代表(59)が二〇〇六年秋、憲法改正につながりかねない教育基本法の改正に反対して国会前で座り込みをする益永さんに出会ったのがきっかけだった。 折しも、映画の完成が、益永さんが反対する憲法改正へ向けた国民投票法の施行と同じ時期になり、上映会にあわせて反戦トークも計画。中国で戦犯となりながら帰国でき、元兵士の立場から平和運動に当たってきた小山一郎さん(89)=同北区=と戦争責任などについて語り、益永さんは「九条改正なんてとんでもない」と訴えるつもりだ。 松原代表は「益永さんの存在を知ってほしい。憲法を考えるうえでも、歴史が風化しないよう、戦争を経験したお年寄りの言葉を残しておきたい」と話す。 上映会は午後六時五十分から。JR中野駅から徒歩七分。参加費千円(学生五百円)。問い合わせは、ビデオプレス=電03(3530)8588=へ。 <国民投票法> 憲法96条にある憲法改正の手続きについて定めた。改正原案は衆参各議院の憲法審査会で審査後、両院の本会議で総議員の3分の2以上の賛成で可決し、国会が憲法改正を発議し、国民投票にかける。投票権は18歳以上とされるが、必要な法整備がなされるまでは20歳以上が投票し、2分の1を超える賛成で承認されるとした。2007年に成立、公布日の5月18日から3年を経過した今年5月18日から施行される。
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