足利弁護人、最高検で講演　「誤捜査を正すのも公判」

　菅家利和さん（６３）の再審無罪が確定した足利事件で主任弁護人を務めた佐藤博史弁護士が１０日、冤罪を生んだ捜査や公判の問題点について最高検で講演し「誤った捜査を正すのも公判。裁判員裁判時代を迎え、時には検事が有罪立証を断念し無罪立証することもあるべき姿勢」と訴えた。

　講演は非公開。佐藤弁護士が講演後に東京・霞が関の司法記者クラブで会見し明らかにした。検察が再審請求審や再審公判で相対した弁護側の講演を企画したのは異例。

　佐藤弁護士によると、鈴木和宏最高検刑事部長をはじめ約７０人の検事が参加し、質疑応答も含め１時間余りに及んだ。最高検が４月に公表した検証報告書については「公判活動の在り方についての検証がほとんどされていない」と指摘した。

　取り調べ全過程の録音・録画（可視化）も求め、参加者の「暴力団事件などで供述した人の安全を守るため録画・録音をしないことは許されると思うか」との質問に「例外はあり得る」と答えたという。