腕に機械をあてて脱毛してもらう小学生の女の子=福岡市内
同社が子ども向けの脱毛を始めたきっかけは、鉄穴(かんな)英明社長(46)の長女(11)が毛深さに悩んでいたことがある。お客からも「子どもが毛深さをからかわれ、学校に行かなくなった」といった相談が多く寄せられていた。痛くない脱毛法を研究し、07年に大人向けに導入。約2年間で安全性も確認できたとして、子ども向けを始めたという。
「子にカミソリやはさみを持たせるより安全。体毛の悩みに時間や気を取られず、勉強や睡眠にあてられる。子どもの脱毛はファッションではなく、悩みの解決法の一つなんです」と強調する。
一方で、こうした風潮に警鐘を鳴らす人もいる。
顔に傷などがある人の精神面のケアをし、人の外観と心の問題に取り組んできたフェイシャルセラピストのかづきれいこさん(57)は「安易な利用が広がれば、毛が長い私はだめ、といった強迫性を子どもに与えないだろうか」と心配する。そのうえで、「外観をあげつらうのはもってのほかだが、あざや毛深さを含めた人間の多様性を自他ともに認める教育も同時に必要」と話している。(山下知子)
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国民生活センターによると、脱毛をめぐる被害相談は、2000年度から今年4月末までに2059件寄せられている。うち、湿疹ができたといった皮膚障害に関する相談が1020件、やけどが920件と大多数を占めている。毛根を破壊するレーザー脱毛はもちろん、光を使った脱毛でも出力ミスなどでやけどの被害が出ているという。
同センターでは、デメリットも含めた事前説明がしっかりしている店を選ぶこと、体質や体調によって影響が出る場合もあるため、一度に長期間の契約をしないこと、などを助言している。
脱毛について厚生労働省は01年、「(毛がつくられる)毛乳頭、皮脂腺開口部などを破壊する行為」は、医師以外が行った場合は医師法違反になるとの通知を出している。