ネット取引急増、個人投資家450億申告漏れ
5月10日10時39分配信 読売新聞
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ほとんどが全く申告をしておらず、このうち40人は、悪質な仮装・隠蔽(いんぺい)があったとして重加算税を課された。同国税局は「納税意識が高まるよう、税知識の浸透に力を入れていく」としている。
同国税局管内では、外貨を売買して為替相場の変動で利益を狙う金融商品「外国為替証拠金取引」(FX取引)で得た所得約2億1000万円を隠し、所得税約7000万円を脱税したとして、2008年3月、60歳代の元高校教諭の男が所得税法違反で名古屋地検へ告発された。元教諭は無申告で、「老後の生活費のため、少しでも金を残しておきたかった」と意図的な所得隠しを認め、執行猶予付きの有罪判決を受けた。
東京、大阪、名古屋など5証券取引所と日本証券業協会によると、08年度の個人株主数は前年度比227万人増の延べ4223万人で、13年連続で過去最多を更新。パソコンや携帯電話で瞬時に取引できる手軽さから、ネット取引をする会社員や主婦らは急増しており、ネット取引の口座数は03年度の約500万口座から、08年度は約1500万口座にまで大きく伸びた。
しかし、課税されるとの意識が低かったり、「含み損があるので申告する必要はないと思った」「取引回数が増え、得た利益の金額が分からなくなった」などとして申告しなかったりするケースは多いという。
政府は03年1月、個人投資家の申告の負担を軽減するため、証券会社が納税手続きの代行をする「特定口座制度」を施行。投資家が証券会社に開設した口座で株の売買を行った際、証券会社が1年分の所得を計算し、年間報告書として投資家に送付、源泉徴収を任せることも選択できる。利用者は着実に増え、昨年6月時点で約1460万口座に上り、施行翌年の04年の3倍近くに達した。
一方、日本証券業協会の昨年6月のアンケート調査では、同制度を導入している証券会社は315社中189社にとどまった。ある証券会社の幹部は「制度が定着しているとは言い難い。管理コストが高いのも要因の一つ」と分析する。
酒井克彦・国士舘大教授(租税法)は「金融商品の多様化により、今後取引はますます手軽になって投資家とともに取引自体が増え、脱税行為の捕捉も難しくなる。税務当局が、個人の取引に監視の軸足を置くとともに、税制や申告の方法について、親しみやすく簡素なものにすることが重要だ」と指摘している。
最終更新:5月10日10時39分
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