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再思三考〜むのたけじの伝言

だまされる側の責任

2010年05月10日

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 数年前に、「円天」という疑似通貨による詐欺容疑事件があったでしょ。あれだけ大騒ぎしたのに、その後も似たような詐欺被害が続いている。本当に人は簡単にだまされるものだな。

 だますやつは悪人だけど、ペテンにかかる方も考えないといけない。つまり、楽してお金がたくさん入ればいいと思っている人が詐欺にあうんだ。立場が変わればペテンをやる可能性を持った人がペテンにかかりやすいのよ。

 「先祖が泣いている。このままではあなたが不幸になる」なんて、死後の不安をあおって印鑑買え、ツボ買えなどと言う詐欺もある。

 この被害者も自分の責任だ。自分の運命だから望み通りに行かないのは自分のせいだ。だから、不平や不満を言わずに努力すればいいのに、それを金で誰かに何とかしてもらうとする。自分の運命に自分で責任を負わないという、不健全な部分があると思うんですよ。

 オレオレ詐欺は、自分の利益ではなく家族の弱みにつけ込んでお金を巻き上げるから、憤りは感じる。でもこれも、残酷な言い方だけど、自分の利益を求めているのよ。

 自分の息子や孫をなんとかお金で傷つけないようにしたいというんでしょ。息子の失敗は息子に責任をとらせればいいんですよ。家族の関係が壊れていなければ「オレオレ」なんて電話をかけてこずに、ちゃんと相談しにきたり、そうなる前の状況が分かっていたりするはずですよ。

 戦争やって無残な敗戦国になった当時でも、これほど人をだましたりだまされたりというひどい時代ではなかった。みんなが素っ裸の孤立無援の状態で、あらゆることに自分で全責任をもっていたからでしょう。自主自立、独立独歩にあふれ、自分自身を大切にしていた。そこから、他人をいたわる心がでてきたのでしょう。

 「アフリカの飢餓を救おう」「被災地を支援しよう」などと募金箱にお金を入れさせ、自分たちで使っちゃう詐欺の被害者は別だけど。

 そのほかのだまされる人に共通しているのは、お金を持っていること。欲があるから、理屈に合わないことでも乗ってしまう。常識で考えておかしいことも、おかしいと思えなくなる。楽をして得する方法があると信じる人がいる限り、詐欺はなくならないということよ。

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